企画
□【2013クリスマス】恋人達はメリークリスマス
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【2013クリスマス】
恋人達はメリークリスマス
総司に会いたい…いつもはこんなに会いたいだなんて思うことはないのに今日だけは無性に思ってします。
そうだ、今日という日のせいだ、俺が性懲りにも無くこのような感情を抱いてしまっているのは…クリスマスイブ…
7時に駅前だと言ったではないか…何故現れない…総司の馬鹿。
今日何度目かの言葉"総司の馬鹿者"
自分から誘っておいてなんということだ。
一週間前、総司にクリスマスイブは一緒に過ごそうと誘いを受けた。
駅前に集合してイルミネーション見て総司の家でご飯を食べて過ごす予定だ。
プレゼントも渡そうと思って一ヶ月も前から悩んで買った。
そっとカバンの紐を握りしめた。
『ねぇ…あそこの公園でイルミネーションやってるんだってー見に行かない⁇』
『ああ…いいねえ‼︎まあ、綺麗なイルミネーションより…もっと君の方が綺麗だよ』
彼氏がそっと彼女の肩を抱いた。
『もぉー人前で恥ずかしいよおー』
『いいじゃないか…誰も見てないよ』
見ているのだがな…
歯が浮くような言葉の羅列にぞわぞわする…くそっ…
よく考えたら駅前はカップル達の待ち合わせ場所の王道ではないか…
「はあ…いつになったら来るのだ」
総司…
スマホのディスプレイをみても通知は何もない。着信履歴もメールも。
遅れるなら遅れるときちんと何か連絡が欲しい…一体お前はどこで何をしているのだ。
「はあ…寒い」
今日何度目かの溜息、よほど寒いのか白くなって消えて行った。
マフラーを口元まで引き上げる。
そういえばこのマフラーは去年のクリスマスに総司にもらったものだったな、
「はあ…」
体の芯から冷えてしまった、目の前のビルの温度計は0℃、時刻は8時を回ったところだ。
一時間も待っていたのか、今だ総司は来ない。
「はあ…寒い…」
それとちょっとだけ寒しくも感じる。
淋しい…さみしい…
ああっ…もう嫌だ。淋しいなんて俺らしくもない、そんな感情はどっかに追いやりたい。
「淋しい…か、はあ」
寒さと総司が来ない淋しさで泣きたくなっても来るというものだ。
くそっ…泣いてたまるか…。
「総司…」
「呼んだ?…僕のこと」
「っ…」
後ろから暖かな人影が体を抱きしめる。
この声は…
「総司」
「うん…ごめんね、待たせちゃって」
「っ…総司の馬鹿者‼︎馬鹿…」
振り返って思いっきり総司の胸板を叩いた。
軽く総司がむせる。
「うん…一人にしてごめんね、淋しかったよね」
ぎゅうっと総司に抱きしめられる。暖かい…
頬を温かいものが伝って行く。
「一君泣いてる…そんなに淋しかったの?」
「っ…淋しかった…淋しかったのだぞ総司‼︎いったい何をしていたのだ、連絡もせずに‼︎」
それはっと少し申し訳なさそうな顔をして俺の頬に口付けた
「なっ…こんなところで⁉︎」
「いいじゃない、他のカップルだってやってるよ、これくらいさ。…はい、これクリスマスプレゼント」
小さな手提げ袋が手渡される。
「開けて…」
「あ…ああ」
中身はペアリング。
「っ…」
「ごめんね‼︎なかなか納得行くものがなくって‼︎探し回っってたら遅れちゃった」
「先に俺が帰ってしまっていたらどうするつもりだったのだ?」
少しだけ総司が目を見開いた、少し以外だというように…
「一君なら待っていてくれると思っていたから…」
「っ…あ…」
何も言えなくなってしまう。
「リングかして?はめてあげる」
「あ…ああ」
左手の薬指。
「何故‼︎…そこなのだ/////それではまるで…⁉︎」
「ふふん…婚約指輪…みたい?」
冷え切った手に総司の温かくて大きな手が重ねられる。
総司の左手の薬指にも…
「ねえ…一君…ずっと一緒にいてくれる?」
「…っ/////…当たり前だ‼︎総司の馬鹿者‼︎」
より強く握られる手…
「ありがとう…愛してるよ」
「っ…俺だって…総司のことを愛している‼︎」
恋人達はメリークリスマス
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