企画
□【リク作品】キミヲマモルヨ
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【キミヲマモルヨ】
部屋の中から聞こえる何かが倒れたり落ちて割れた音。それから…君の苦しそうな呻き声。
「っ…一君‼︎ねえ‼︎一君‼︎」
重たい扉をドンドンッと必死に叩きながら中で一人苦しみに耐える一君に声をかける。
苦しみ…羅刹の吸血衝動…身を引き裂かれるような痛み…息をすることもままならないくらいの縛感…らしい。実際僕は羅刹ではない、あの薬、変若水を飲んではいない。
ドンドンドンッ…中からは相変わらず苦しそうな声が響いてくる。
「っ…仕方が無い」
僕は重たい扉を体当たりで破って中に無理やり入った。
「一君‼︎…っ…」
中にいたのは真っ白な髪に血のように紅い瞳の君。
僕は床に伏せって必死に衝動に耐える一君を抱きかかえた、
「一君‼︎しっかりして‼︎…僕の血をあげるから‼︎」
一君の瞳には光がない、理性を失ってるだ。
「やだ…いやっ…だ…絶対に…それだけは…」
一君が譫言のように呟き続ける。
「なにいってるのさ‼︎辛いのは君でしょ‼︎…お願いだから僕の血を飲んで‼︎」
こう言ってなんど断られたことだろう、今までどんなに一君は苦しくても僕の血を飲もうとはしなかった。
"大丈夫だ…すぐに収まる"
って言って必死に耐えてた。
でも今回は僕も譲らない、愛する君から少しの苦痛でも取り除くことができるのならば僕は…迷わずこの命を投げ出す覚悟だってある。
「今日は僕も引かないから‼︎…僕は…君が苦しんでいる姿なんか見たくない‼︎…たとえ君が血に狂っても僕は君と共にいる」
労咳という死病に犯された僕でももう少しだけ君といることはできる…いや、いなければならない。
そのとき、一君の腕が触れている手のひらが生暖かいもので濡れているのに気がついた…
流れてきているのは一君の二の腕だった…
「血⁇…まさか、自分の腕を切りつけて血を⁇…」
一君がピクッ少しだけ動いた。
「一君…」
キミヲマモルヨ…
僕は迷うことなく首筋に切りつけて一君の唇を当てさせた。
「飲んで…」
「………」
「飲んでよ‼︎…一君‼︎」
一行に飲もうとはしない一君。理性がなくなってしまっても本能が繋ぎとめてるんだ、
「っ…」
どうしようもなくて泣きそうになった…
「仕方ない…」
自分の舌先に刀を当てた、
「っ…いた…」
鋭い痛みが駆け抜けた、でもこんなもの一君が襲われているものに比べたらなんてことない…
一君の唇を無理矢理開けさせて深く口付けた、舌先を一君の口内に入れる、
そして必死に一君の舌に絡ませる、
「っ…ふぁ…」
だんだん一君から舌を絡ませて来てくれる、舌先から溢れる僕の血とお互いの唾液が唇淵から溢れ出る。
そっと舌先を引き抜いて今度は僕の首筋に唇を当てさせた、今度は優しく舐めてから深く小さな傷口に口付けた。
「んっ…一君…」
擽ったいような不思議な感覚が身体中を駆け抜けた…
、