短編

□君の【斎藤一追悼企画】
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俺の命日には毎年何かが必ず起きる。
それは命にかかわることであったり、そうでなかったり。
去年は車にひかれそうになった。まあ、幸いうちどころがよくうち身だけで済んだのだが…。
それにしても何故俺の命日に何かが起きるのであろう…。

9月の中頃になったころから俺は今年は何が起きるのかと警戒し始める。
命にかかわることではなければいいのだが…。
今年何が起きるかは当日までわからない。


「一君の命日が来るね」
「ああ、」
「なんだか、自分の命日を気にするのっておかしいよね」
「…まあな、この世の中ではいないだろうな」

昼休みの屋上で俺と総司はちかづいている俺の命日についての話題を話していた。
この世の中では自分の命日を気にする人間などいないであろう。しかし、俺たちは過去の記憶を持ったままもたこの世に生まれてきた。だから、自分の命日に対して気にしてしまう。
誕生日と同じくらいのビックイベントだ。


「今年は何が起きるんだろうね」
「さあな」
「しなないでね」
「あたりまえだ」

今年は何が起きるのだろう…今から気をつけておかねば。

























そして、迎えた俺の命日。
家を出る前、いや、起きた時から何かと気を配って過ごしていた。
そして、今は学校。なんとか登校時には何も起こらなかった。

「おはよう、一君」
「ああ、今日も遅刻だな」
「もちろん」

いつになったら早く来るのだ。
昨日は俺を守るだのなんだの言っていたくせに…。


「明日は早く来いよ」
「無理だね。生活のリズムがくるっちゃうから」
「今の生活のほうが狂っているだろう」
「えー」


まったく…同じことを何度言わせる気なのだ。

「ははは…それより早く行こうよ…」
「ああ、」


俺と総司が校舎に向けて一歩踏み出し後気だった。




「すみませーん。ボールとってください!!」


グラウンドの向こうから朝練を終えた野球部が走ってきていた。その前には一つの野球ボールが飛んでいた。

「だって、はじめくん」
「おれか?」
「頑張って」

仕方なく俺は飛んでくるボールを目の中に入れて少し後ろに下がった。
俺たちの学校の校門の前は大きな道が通っている。交通量こそ少ないがかなりの大きさだ。


「もう…ちょっ…」

予想以上も遠くまで飛んでくるボールのために俺はどんどんさがっていった。



「一君!!危ない!!」
「は?」

ボールから目を離して周りを見た。
大きな道の向こうから一台の乗用車が迫っていた。

「や…ばい…」





















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