短編
□久しぶり。
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一君がくる。
卒業から6年。
あれから一度も会っていない、会いたくもなかった。
なぜなら、最悪の別れ方をしたから。
「どうした総司?久しぶりに会えるんだからうれしいだろ?高校の時はよく二人でつるんでたじゃねえか。」
「まあ」
「確か、一君は県外の大学を受験したんだったけ?」
「ああ、通っているらしいぞ。一人で暮らしてるって」
一人で。
ガラッ
一斉に振り返った。
「すまない、遅れた」
「一君!!」
平助が歓喜の声をあげた。
「久しぶりだな平助。」
「久しぶり、斎藤。」
「左之…ああ、久しぶり。」
「そうだ、一君。総司もいるんだぜ」
「えっ…。」
ぴったり一と総司の瞳が重なった。
「久しぶり…。一君」
はじめに口を開いたのは僕だった。
「ああ…久しぶり。」
久しぶりにあった一君はなんていうか…
色気が増した…。高校生の時から男にしては色気があったけど、肌が白くなって、髪の艶が増して…ドキドキするような人になった。
「総司?」
6年ぶりの一君の声。
耳に心地よくてあの時はよくもっと僕の名前呼んでってねだったっけ。
「ん?」
「その…いや…いい」
つづく。。。