学園伝奇

□12月23日(壬生)
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12月23日

クリスマスイヴ前夜

愛しい君へ



僕は今…困っている。
そして悩んでいる。

明日は、クリスマスイヴ。

僕はどうしたらいいのだろう。

愛しい君への

プレゼント…。

もう、2週間以上頭の中ではそのことばかり考えている。

ずっと考えている。

プレゼントがない僕は君に会いに行けない。
明日は早く君に会いたいのに。

本当なら今すぐにでも会って君を抱きしめたい。

考えれば考えるほど後悔する。
何故僕はあの時君の言葉を聞きそびれてしまったのだろう。

そう、僕は聞いた。
本人に。
何が欲しい?と。

答えは
「――――欲しい」

…肝心な所を聞き取ることができなかった。
風の音に遮られた言葉をもう一度聞こうとしたが
「何度も言わせるな」

と少し寂しげな顔で言われた。
それ以来、僕はそのことに触れることができずに今に至る。

君はいつも僕に何かをねだろうとはしない。
他の仲間達には、時に無理難題な事をねだるのに。
僕は少し寂しかった。
そんな君が欲しいと言った。

はがゆい。

でも、逢いに行けない。そう思えば思うほど、君に逢いたい。


――謝ろう――


あの時、君の言葉を聞き逃してしまった事。
結局、何もプレゼントを用意できなかった事。

君は怒るだろうか。
それとも哀しむだろうか。
君に…伝わるだろうか。
僕の想いは。

明日はクリスマスイヴ。
ケーキを作って、途中で花を買って。

君に

逢いに行こう。



愛しい、龍麻に…。






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