作品処 貴子
□夏夢もよう
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ある夏の夜のお話です。
私は御簾の中で一人、さんざめく人々の声に、女房達の含み笑いに、明々(あかあか)と燃える庭の篝火に、ただただ身をすくめているばかりでした。
急にばちっと薪がはぜ、私はびくりと身を震わせてしまいました。そのことでまた、息をひそめなくてはならなくなるのに。
どうしてなのでしょう。闇が怖いのです。とても。
幼い頃は、「そこにあるもの」と受け入れてきたはずの闇が、今では「何かがじっと『私』をみている」ように思えてならないのです。
風が流れて、私の顔を照らす、小さな明かりを揺らしています。やがて消えてしまったら、外が明るく華やいでいるだけに、ここは本当の闇に包まれることでしょう。
純粋な恐怖。ひたひたと心を侵してゆく闇。
…とりあえず、ここから続きます。殆ど進んでないのにごめんなさい。