言の葉綴り 貴子

□はなごよみ 他
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「ぬしもり」



それは深淵の さらに奥
繁る緑が暴力的なほどの 森の中

こくこくと
樹々の枝葉を かいくぐり
蒼天から 真っ直ぐに差し込む
光の つまさきが 水面に踊る



光と雫がはじけ
ぬらり、と影が跳ねた
次いで響いたのは
森を震わせる水音

もの言わぬ 絵画が
ひとときだけ 現実のものと なるような

短い余韻の あとには
小さな同心円だけを 残し
自身は 何事もなかったかのように
深く ゆっくりと
水中に 没してゆく


彼は池の主

静寂と共に過ごし
移ろいの中でまどろむ
穏やかな孤独の住人

唯人には 訪なうべくもない 森の中
蒼天はそのままに 雨が 降り出した


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ゆーい様、先日は300hit有難うございました!
遅くなりましたが、「詩」をお届けいたします。
「魚」の文字は使わないようにしよう!と思って
いたら、松風も同じようなことを…していますね
(笑)。
イメージは、屋久島のような原生林。割と明るい
色彩が浮かんでいたのですが、如何でしょうか。
少しでも涼しさを感じて頂けたなら、嬉しく思い
ますvv

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