ノアの休日

□ノアの休日
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「ロード様ぁ─?どこに行かれたのですかぁ─?」

廊下を走りながら私は、
ロード様を探す。

お屋敷の広さが尋常じゃない

急いでロード様を見つけないと…

「ロードさ…きゃ!?」

「うわっ!?」

黒い何かにぶつかり後ろに尻餅をつく。

「イタタタタタタ…」

腰をさすりながら上を見てみる、
ぶつかったの誰?

「おいおいメイドが廊下走ってていいのか?」

そう言って黒い男が手を差し出す。

テンパでシルクハット…
タキシードっぽい服と白い手袋…
左目の泣きぼくろに黄色い細い目…
無造作にあげた前髪…
ふわっとただようタバコの匂い…
青い小さなピアス…

「ティ、ティキ様!?す、すみません

慌てて立ち上がろうとしたためたてない

「大丈夫か?ほら…手。」

差し出したてをまた突き出す。

「!?いえ、めっそうもございません!!」

首を横にブンブンふる。

「…はぁ。」

ティキ様は溜息をつくとしゃがみこみ、
私の顔を覗き込むように見て言った。

「いつになったら懐いてくれるの?」

ポンっとティキ様は私の頭に手を置いた。

「俺、嫌われるようなことしたか?」

ティキ様の目が悲しみに染まる…

“そんなことありません!!”

そう言おうとしたが
その言葉を遮るように、
後ろから声がした。

「したよぉ────v」

ティキ様と私は声の主を見る。

ツンツンとした髪に
ティキ様と同じ黄色い目は
大きめで切れがある。
爪には紫のマニキュア
ゴスロリ風の服
甘い薫りは右手のロリポップ
悪戯な笑みを浮かべ立っている女の子。

「ティッキー僕のリリネに手ぇ出さないでぇ──?今リリネと遊んでたんだよぉ─?」

「お前のじゃね─だろ?ロード。」

そう言ってティキ様は私の右手を持って引っ張り上げる。

「僕のだよぉ─vね、リリネ─?」

そう言って私を見るロード様。

「え…あの、その、まぁ、そんなところですね

だんだん声が小さくなっていく…

「ん?ロードお前嫌われてんじゃね?」

ティキ様が笑みを浮かべる。

「え─?僕嫌われるよ─なことしてないよぉ─?」

そう言って考える素振りをするロード様。

私は思い出した。

「はっ!!ロード様!時間がないです早くお支度を!!!」

そう言ってロード様に懐中時計を見せる。

時刻8:00

遅刻まで25分。

それまで食事、身だしなみの整え等…

合わせて25分じゃ足りない!!

「え─今日休むぅ──。」

「ダメです!!」

「こういう時だけ厳しぃ──。」

「当たり前です!」

ロード様と私のやりとりを見てティキ様はクスクスと笑う。

「ティキ様もちゃんと食事をとりましたか?」

ティキ様を振り返り言うと、
びっくりしているようでした。

「ん…あぁ─俺パスv今日いいや。」

「ダメです!!」

「いいじゃんv」

「良くないです!ティキ様この頃人様の池の鯉食べられてるでしょ!健康にも影響あるし…etc…」

「リリネ!うしろ!!」

反射的に後ろを見る。

「ロード様!逃げないで下さぁ──い!!」

急いでロード様を追う。

一瞬ティキ様を見て

「お食事用意しておきますからね!!」

と言った。



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