ノアの休日

□ノアの休日
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「ふぅ…」

ロード様を無事に学校まで『扉』を使って連れていった(遅刻したけど)

その後ティキ様の食事の準備をした。

私の仕事は、
ロード様とティキ様の身の回りのお世話。

御主人様の伯爵様の担当はルル=ベル様。

スキン様とデビット様、ジャスデロ様のお世話は、
大変だということで止められています。

御主人様が時々お仕事をくれるので、
暇なときにしています。

ロード様が学校にいくと
私はロード様の部屋のお掃除。

その後、
ティキ様の部屋のお掃除。

お屋敷のお掃除は、
AKUMA様方がしてくれています。

仕事がないときはテラスでお茶を飲むのが今のマイブーム。

ティキ様はこの頃暇なようで、
私と一緒にお茶を飲んでいます。

今もその最中。



「ティキ様はこの頃、お仕事に行かれないんですか?」

何となく聞いてみる。

「ん…なんかこの頃黒も白も疲れてきてさ、今休業中。」

そういいながらティキ様は角砂糖で遊ぶ。

「ダメですよ?ちゃんと仕事しないと…」

そう言って紅茶を一口口に含む。

「そんな話しよりさ…」

角砂糖を人差し指と親指で粉々にした。

「リリネはさ、俺のこと嫌い?」

少しノア混じりのティキ様の口。

「いえ、嫌いじゃないです。ティキ様は私の命の恩人ですから。」

「…それだけ?俺ってリリネにとって恩人ってだけ?」

そうだといったら嘘になる。
でも言えない。
言ってしまったら
この幸せは、なくなってしまうから。


言えないよ…ティキ様…


「…………………」

ティキ様の目が口が
ノア化した時も、
白の時も、
白と黒の中間の時も
すごく愛おしい。

ティキ様の髪がすごく好き。
泣きぼくろが可愛い。
でもね、言えないよ…
言っちゃったら全て終わり。

「リリネはあの時泣いてたよな。あれは、俺が怖かったから?」

ティキ様の声が沈む。

悲しい目、悲しい声。

「ちが、い…ます。」


あの時。


1年くらい前。

私とティキ様が出会った日。

私の故郷が消えた
私の大切な人が消えた
私がノアに覚醒した
そんな過去の出来事


思い出すだけで涙が出る…

「おい、リリネ?」

ティキ様の声が遠退く…


あの時の涙は…





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