清桜の新星

□プロローグ
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ガンっ




ピピッーー!!



ゴールを決めると共に
試合終了のホイッスルが高らかに響き渡った



「ー試合終了!!112対56で清桜中の勝利」




その声を合図に会場は異常なまでの歓声に包まれる





「清桜が女子バスの2連覇達成か!」




ー2連覇達成・・・ね






観客の誰かが発した言葉にそんな感想しか出てこない




ふと見ると
コート内ではチームメイトが互いに喜び合っている





それもそうだろう3年生にとっては中学生活最後の






ーそして最高の試合結果になったのだから






「それにしても流石、清桜の新星だな」







その言葉を聞き頭が殴られたように激しい衝撃におそわれた






清桜の新星







それは私につけられたもう一つの名前





中学女子バス界の最強のプレーヤーとも呼ばれたこともある






だけどそんな風に呼ばれても全然嬉しくなかった






ーむしろ罪悪感が私を包み込んだ






理由はバスケに対して気持ちが曖昧だから






そんな気持ちで試合に参加していると







本気で戦っている相手に対して自分が







とてつもなく失礼に感じてくる






ーあたし何やってんだろ







ゴールから落ちたボールを見てそんな言葉が出てきた







そっと近づくとそのボールを震える手で持ち上げた







その時、先輩が私の名前を呼ぶ声がした






急いでコートの中央に整列している先輩と同級生の横に並ぶ







『ありがとうございました!!』






こうして私の中2の夏は幕をおろした








全中の優勝旗と大会の最多得点の記録を残して・・・













ーそしてこの大会の直後








私は親の都合で東京に転校する事になり









この出来事が自分を変えることになった










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