清桜の新星

□第1Q 新しい生活の始まり
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―――帝光中学校




そう書かれた門の前に 莉奈は立っていた




「・・・ここが新しい学校か」




そして深呼吸をひとつすると自分の両頬をパンッと叩いた




「この学校に私のことを知ってる人はいないんだから気持ち切り換えなくちゃ」



そう言い辛そうに顔をしかめる



ーがそれも一瞬の事ですぐさま明るい表情に戻る




そして、学校の中に足を踏み入れた




ここから新しい生活が始まるんだ




やっと、周りの期待やあの視線から解放される




――――私はもうバスケをするのだけは嫌。




見ている事が好きだったあの頃の自分に戻りたい




そう願いながら校舎の中を歩いていた莉奈はいつの間にか教室までたどり着いていた




「来たみたいだな。入っていいぞ」





教室の中から教師の呼ぶ声がして一瞬身が強張った




はあー、こういうのってまさか自分が体験するはめになるとは思わなかったけど・・・




すっごい緊張する。どうしよう。でもいかないとーーーよし!




覚悟を決めて、ドアに手をかける





「ー失礼します」




「女の子だー」




「おい、意外と可愛くね?」




「んー?そうかー?」




「お前は彼女が一番だもなー」




「悪いかよ」



「別にー」






いろんな声が聞こえてくるよ…




そして、教師の隣にまで行きクラスの人たちの方にむく






突き刺さるいくつもの視線




う、やばい。いますぐこの場から逃げたい!!






ーけど






「じゃあ、一応自己紹介をしてもらうか」





はい、やっぱりきましたねそのパターン




「えーと、星吹莉奈です。前の学校は、京都にある清桜中学校というところに通ってました。よろしくお願いします」





「え、清桜中?!じゃあ、あの天宮莉奈と同じ学校!?」





ひとりの女子生徒が驚いたような声をあげた





それと同時にあることが判明した




この子、バスケ部・・・か




天宮莉奈という名前を知っているのはバスケ関係者ぐらいだと思うから





ほら、試合であたった事があるとかでーそれ以外思いつかない





「誰そいつ?」




「女バスの子はほとんど知ってるよ」




「そんな有名人なのか」




「うん。だってー噂では100年に一人の天才だって話だよ先輩が言ってた」




”あの子は同じ人間とは思えない能力を持ってる”って





「なんだそりゃ」





「おーい、そこごちゃごちゃうるさいぞ」





すいませんと言って肩をすくめる生徒2人





その2人の話の最中私は冷や汗が止まらなかった




ど、どうしよう。なんか話が凄いことになってるような


ーそれよりその噂何!?




「ーじゃあ、とりあえずこれで自己紹介は終わりにするとして席はこの列の一番後ろな」




「・・・」




「星吹?」




「ーあ、は、はい」




あわてて自分に用意された席までいき着席すると前に座っていた女の子が振り向いた




「桃井さつきです。よろしくね星吹さん」



そう言ってにこっと笑う




わあー、この子可愛い





・・・じゃなくて、その前にどうしよう





ーなんで、あの子私の前の名前知ってんの!?





さっき、帝光中の対戦相手を思い出してみたけどあの子はいなかった






だけど、今までの出来事を思い出していくと頭が痛くなってくる






でも名字違うからさすがに同一人物とは思われてない・・・よね?







ー天宮莉奈



バスケをやっていた頃の私の名前・・・









だけど親の離婚とか再婚で名字が変わった事を知っている人は少ない




だからーーー





「へえー、面白いのが来たな・・」





「え?」





驚いて声の聞こえた方に向く





そしてそこにいたのは赤の髪をした男の子だった










私はその時はまだ気づいていなかった

こいつとの出会いがまさか大変な事になるとは







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