キミの隣
□3話
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「梓ー!!」
美術室に入ると飛段が私たちに気が付いてヒラヒラと手を振ってきた。
デイダラの姿が見えないなと思いながら近づいたら飛段の後ろで黙々と作業をしているデイダラを発見。
垂れ幕の下に敷いてあるブルーシートに落書きをしている飛段とは大違い。
「どーしたんだァ?」
『模擬店の衣装、男子は燕尾服なんだけど持ってる人いないかなーって聞きに来たの。でも流石に燕尾服なんて持ってないよね』
「燕尾服なら持ってるぞ、うん」
「俺もー」
期待しないで聞いてみたけど予想外の返事に驚いた。
『ホント!?じゃあ早めに持って来てくれたら嬉しいな』
「おう」
「まかしとけ、うん!」
それにしても2人が持ってるなんて驚き。
あ、留学してたからパーティーとかで着たのかな?
でもこれで2人分の衣装つくる手間が省けた!
「梓のクラスの模擬店は何やるんだ?」
『喫茶店ですよー……………って、え、え?赤砂先生!?』
「クククッ」
不意に後方から投げかけられた質問に振り向きながら答えるとすぐ後ろに赤砂先生の姿。
しゃがんでいた私はびっくりして立ち上がってしまった。
うー…また笑われちゃった…っていうか先生、神出鬼没…
あ、そう言えば垂れ幕の担当の先生は赤砂先生なんだっけ。
「ほー。それは梓も表に出るのか?」
『はい、一応…交代制でみんな出ますから』
「そりゃー楽しみだな」
先生はクク、と笑って他のクラスの垂れ幕の具合を見に行ってしまった。
ヒナタちゃんも待ってるみたいだし、そろそろ私も行こうかなと思って飛段たちのほうを向くと不満気というか嫌な表情の2人。
最初は私に向けられてるのかと思ったけど2人の視線を辿ったら赤砂先生に向けられていた。
「「…チッ」」
え、舌打ち…?
『あ、あの、じゃあ教室に戻るね、2人とも頑張って!』
「おう!」
「梓もなぁ!」
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