気まぐれな
□いつか終わる恋
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*初めまして。絶望*
まだ、少し冷たい風が頬を撫でる。
そんなある春の日。
俺はある人を見つけた。
「っ…!!」
例えるなら、そう。
一目惚れ。
一瞬のうちに俺の心をつかまれた。
風に揺れる艶のある長い髪。
まるで猫のようなしなやかな歩き姿。
甘く香る、匂い。
「あのっ!!」
声を掛けずにはいられなかった。
「………はい…?」
振り返った彼女の目。
どこまでも澄んでいて、吸い込まれそうになる。
「………」
見とれる。
もう、言葉なんかどこかに忘れたかのように。
「…あの…なんでしょう…」
「あ、えっと…あの…」
しまった!!
声をかけたのはいいが、何を話せば…
「あ…お嬢ちゃん、今から暇?」
「はぃ?」
ど、どあほぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!
こんなんじゃ、ただのナンパやん!!
うぁぁぁぁぁぁー!!
時間よ戻れ!!
今すぐに!!
なんて思ってもそんなの不可能な訳でして。
俺は彼女の返事を待った。
「……暇ですけど…」
「あ、なら一緒にどこか行かん?」
「………」
そう問いかけると彼女はコクンと頷いた。
嘘やん…
成功してもうた…
「どっかいきたいとこある?」
「カフェ…とか…?」
「じゃあ近くにエエとこ知っとるから、そこいこか。」
笑顔で言って歩き出そうとした時。
くんっと、後ろに引かれた。
そっと、後ろを振り替えると俺のシャツの裾をキュッと握っていた。
「…人、多いから…こうしてていいですか?」
「お、おん…」
な…かわいすぎやん…。
俺達は、カフェに向かって歩き始めた。
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