終わらない夢を紡ぐキミに
□番外編◆不可侵の女神- sacred goddess- by 中西京介
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翌日、一磨の部屋で彼女が手料理をふるまうことになった。
きっかけは翔が買い物に出かけようとする場面に出くわし、夕食をねだったからだそうだ。
「やったーっ」
あまりもの大きな声で、オレも亮太も義人も何事かと顔を出し、結局、彼女は全員分のその日の夕食を作ることになったのだ。
全員での食事が終わり、ここでまた、翔がコンビニにデザートを買いに行くと言い出す。
ただ、彼女は片付けがあるから残ると言った。
財布を持って出てきていなかったオレは、みんなを先に行かせて自分の部屋に戻り、クラッチバッグを持ったあとヤツらの後を追おうとした。
一磨の部屋の前を通ったそのとき―――チャンスだという言葉が頭をかすめる。
彼女を一磨から奪うための。
みんなの後を追うのをやめ、オレは一磨の部屋のドアを開ける。
「一磨?」
食器を洗う手を止めて彼女はこっちを見た。
「あ、京介くん。 ……忘れ物?」
オレと部屋に二人きりだというのに、昨日、あんな風に言い寄ったのに、彼女は警戒心もなく再び家事を始める。
何気ない会話を交わしていたが、昨日の夜のコトを思い出し―――洗い物をしている彼女の耳元で囁いた。