終わらない夢を紡ぐキミに

□記憶・破れた未来予想図 by 本多一磨
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終わらない夢を紡ぐキミに
    〜破れた未来予想図〜

     by 本多一磨





人気アイドルグループとしての地位を駆け上っていたときにオレたちは出会った。

いつものように歌番組の収録待ちのために亮太・義人と一緒に楽屋でくつろいでいると、ドアがノックされ、挨拶回りに来た新人アイドルの女の子が顔を出した。



「今日の番組でデビューすることになった、ラビット・プロモーションの紫藤海尋 です。よろしくお願いします」



一緒に来ていたマネージャーがそういうと、彼女は緊張した面持ちで深々と頭を下げる。

まさにアイドルという衣装を着た、”可憐”という言葉が似合う女の子だった。



「あ、こちらこそよろしくお願いします。Waveリーダーの本多一磨です」



グループのリーダーとして笑顔で挨拶する。

そこに前の仕事が押して遅れてきた翔が走りこんできて、彼女とぶつかりそうになった。



「!」

「お…っと。 ゴメンね? ……って、誰?」

「あぁ、今日一緒の歌番組に出る新人さん。
 …え、と、紫藤海尋ちゃん…だっけ」

「は、はい」

「桐谷翔です。 ヨロシクね、海尋ちゃん」



それから彼女はよく翔に連れられてWaveの楽屋に出入りするようになった。

翔は2,3度うちのマネージャーにたしなめられていたが、それでも懲りずに彼女を連れてきて。

海尋はいつも屈託のない笑顔でよく笑ってはオレたちを和ませてくれた。

翔が彼女に想いを寄せているのがメンバーにはバレバレで、京介や亮太がよく二人をからかっていた。

それを見ているのも楽しかった。

いきすぎていると思った時は義人と二人で注意したりして。





その関係を一変させたのは、オレと彼女が舞台で共演することになってからだった。

翔には彼女のことを前から相談されていたから、初めは”メンバーが好きになった子”という認識しかなくて。

だけど、一緒に過ごす時間が多くなっていくうちに彼女のコトが気になり始めていた。

いつも何にでも一生懸命な彼女。

喜怒哀楽がすぐに顔に出る、感情が豊かな彼女。

何よりも……その笑顔が眩しい彼女。

気がついたときには、オレの心は海尋にとらわれていた。

それでも、翔に遠慮して自分の気持ちを抑え続けた―――。



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