終わらない夢を紡ぐキミに
□記憶・上弦の月の影の中で by 中西京介
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終わらない夢を紡ぐキミに
〜記憶・上弦の月の影の中で〜
by 中西京介
Sacred Goddess―――不可侵の女神。
彼女が、初めて本気になれた女だった。
だけど、諦めざるをえなくて、想いを封印した。
その中から生まれる、抑えるだけで精いっぱいの嫉妬。
メンバー思いのふりをして祝いの言葉を伝えるも、幸せそうな一磨を見ては妬んだ。
人間の醜悪な感情を全て集めたような、そんな最悪の憎悪がオレを取り巻いていた。
―――だけど、彼女が事故に遭い、一磨の元から姿を消してしまったときは、その感情全てが一瞬に吹き飛んでしまった。
とにかく無事でいてほしい。
生きてさえていてくれれば、一磨との幸せを心から願おう―――そう思って探し続けた。
そして、ようやく遭えた。
でもそこにいたのは、生きることに絶望し、愛されることを拒絶していた彼女。
それでも生きていてくれたことに感謝して。
二度と失わないためにはどうすればいいのだろう?
全ての感情をなくしたような彼女は、オレがWaveから抜けるコト芸能界から引退するコトに反対し、激昂した。
それは一磨のためだったのかもしれなかったが、その感情を利用した。
いま思い返せば稚拙な方法だったが、意外と有効な方法だった。
2度目に彼女に会いに来たときは、生きていくための住む家を用意した。
それからも1日以上の空き時間が出来ると彼女に会いに行った。多忙な中、時間を作るのは難しかったが、何とか工夫して彼女に会いつづけた。