終わらない夢を紡ぐキミに
□『終わらない夢を紡ぐキミに』
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『終わらない夢を紡ぐキミに』
by 中西京介/本多一磨/heroine
念願の結婚式を挙げた後に行った、景色のいいレストランで海尋に伝えたプロポーズの言葉。
―――これからもずっと、一緒に生きていきたい―――。
まだ海尋は戸籍上では一磨の妻であること、でもオレたちは既にもう何年も一緒にいることなどを挙げても普通の一般的なプロポーズとは違うけれど、それでも、きちんと言葉にしたかった。
心が通じ合っていると思っていた。
オレが海尋を必要とするように、海尋もオレを必要としてくれていると思っていた。
だから、きちんと関係を明確にして、すぐにでも公表したいと海尋に言った。
だけど、海尋は首を縦に振らなかった。
「公表は……もう少し後でいいと思うの……」
何かのために時間稼ぎをしているのだろうかという疑念が沸きおこっていたのだが、海尋に理由を聞いても穏やかな微笑みを向けるだけだった。
ただ、このことで海尋を問い詰めるのは止めにした。
いまさら、なのだ。
公表したところで何かが変わるわけじゃない。
オレたちの気持ちの整理がつくだけだ。
だから、海尋がその気になるまで―――一磨と正式に離婚して、この関係を公表する気になるまで―――待つことにした。
海尋との間に子どもは望めないのは当然理解しているし、オレ自身、子どもはいなくてもいいという考えだった。
すぐにでも彼女の戸籍をキレイにしなければならない理由も他にはなかったために、海尋がその気になるまで待つことにした。