終わらない夢を紡ぐキミに
□番外編◆十六夜月に誘われて with 本多一磨
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終わらない夢を紡ぐキミに
〜番外編・十六夜月に誘われて〜
with 本多一磨
今日は朝から快晴だった。
たくさんのシーツもお洗濯ものも、たった3時間で乾かしちゃう、そんなお日さまの光が降り注いでいる。
ふと、ついていたテレビの番組の言葉に、子どもたちとの昼食を終えて洗い物をしていた手を止めた。
「今晩の関東地方は雲ひとつない快晴となり、今日はお月見が出来るでしょう」
昨晩の空はあいにくと厚い雲で覆われて、せっかくの満月だったのにお月見が出来なかった。
waveのメンバー全員が珍しく夜のスケジュールが空いていたので、我が家での食事会と観月会を予定していたのだけど、観月会のほうは中止になってしまって。
みんなは午前の仕事のために夜明け前に帰っていった。
そして、私の夫、一磨も彼らに少し遅れて仕事に出かけている。
「……じゃ、今晩は家族だけでお月見をしますか」
昨日使った材料の残りでもう一度お月見団子を作り、その他に飲み物や子どもたち用のお菓子も用意した。
「そういえば……」
私はくすっと思い出し笑いをした。
昨日の夜、夕食後に食べたお月見団子をめぐっての、翔くんたちのバトルに。
「子どもたちと一緒になって騒ぐんだもんなぁ……」
翔くんに子どもが生まれたら、きっと、子どもと一緒になって家じゅう走り回っちゃって、奥さんになる人は大変だな……なんて思ったりした。
ま、大騒ぎするという点では、うちも似たようなものだけど。
一磨は翔くんとは違う遊び方をするけど、やっぱり子どもたちは父親である一磨のコトが大好きで。
オフの日なんかまとわりついちゃって、彼は体を休めることが出来ないでいる。
ちょっと申し訳ないとは思うけれど、一磨は一磨で、気分転換になるから大丈夫って言ってくれる。
「ホンット、優しい……」
と、私は幸せをかみしめた。