『花音-Kanon-』
□ある女子高生のユウウツ
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―――私の心の底にある、封印された記憶。
それは、小さいときに迷子になったときのもの。
「うわあぁぁぁん、ぱぱぁ、ままぁ、どこぉぉ…?」
広い広い公園で迷子になってしまった私。
どんなに走っても、どんなに叫んでも、周りは知らない人ばかりで父さまと母さまの姿は見えない。
「ひぐっ…ひぐっ……ぱぱぁ…ままぁ……」
もう声も出ないほど、ただ泣きじゃくりながら歩くだけの私。
この世にたった一人だけのような気がして、絶望とも言える不安に陥っていた。
でも、そのとき―――。
「花音…っ!!」
聞き覚えのある声がした。
涙で視界がぼやける中、目に飛び込んできたのは……
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