終わらない夢を紡ぐキミに
□記憶・破れた未来予想図 by 本多一磨
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その気持ちを抑えきれなくなったとき。
オレは……彼女に告白していた。
たとえ、彼女が翔のコトが好きだったとしても、自分の気持ちに整理をつけたかったから。
「オレが告白することが迷惑だったら……ゴメン。 気持ちを押しつけられてもいい気はしないとわかってる。
でも…どうしても言いたかった。 キミのことが好きだ…って」
玉砕覚悟で告白して返ってきた答えは……予想外のものだった。
海尋も、オレのコトが好きだった、と。
その日からオレのプライベートな時間は海尋一色となった―――。
事務所の意向によりマスコミへの公表は控えられていたものの、両方の事務所から黙認された付き合いが始まった。
お互いに忙しくて、それでも会える時間を作ったり、どうしても会えないときはメールや電話で連絡を取り合う。
そうやって愛を確かめ合っていた。
Waveのメンバーもいろいろと協力してくれた。
仕事以外で代われる用事などを進んで代わってくれて。
―――気がつけば、付き合い始めて数年が経っていた。
オフの日に海尋が台所に立つ姿を見て、彼女との結婚を意識し出した頃、偶然にも前回共演した舞台の続編のオファーが来る。
それも、前回と全く同じ配役で。
ストーリーも……ラストでは、万難を排して、二人が結婚するというもの。
そして―――舞台の千秋楽を迎えた後、そのストーリー通り、オレたちは結婚した。
最高に幸せだった。
仕事もプライベートもこれ以上ないほど順調だったところに、さらなる幸せが舞い込んでくる。
愛する妻、海尋のおなかにオレたちの初めての子どもが宿るという幸せが。
毎日のように二人で未来予想図を描いた。
子どもは何人でも欲しくて、賑やかで楽しい家庭を作りたかった。
海尋もそれに同意してくれて。
一つずつ、叶えていくはずだった。
だけど―――――。