終わらない夢を紡ぐキミに
□記憶・暁月の下に…そして、盈月のように by 中西京介
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終わらない夢を紡ぐキミに
〜暁月の下にて…そして、盈月のように〜
by 中西京介
『彼女』が失踪して2年が経とうとしていた、ある年の春。
オレは沖縄本島に近い、ある小さな島にいた。
この日も『彼女』を捜すために、その島の集落から少し離れた、思い出の場所に向かう。
―――もう、この場所には何度訪れただろう。
少しまとまったオフができると、オレたちWaveのプライベート・ビデオのゲストであった彼女と一番初めに一緒に撮った場所を訪れていた。
『彼女』が一番好きな場所だと一磨からも聞いていたから。
でも、今日も会えそうにない。
(今回もカラ振り、か…)
誰もいない丘の上の草原を見て、今回も諦めの深いため息をつく。
あの時―――一磨から『彼女』が失踪したと聞かされたときは、オレは自分自身でも気が狂ってるんじゃないかと思うほど激昂した。
一磨が離婚に応じさえしなければ、『彼女』は失踪などしなかったはずだ、と。
翔たちに諌められてようやく我に返ったとき、オレは一磨に言った。
絶対に探しだせよ、と。一磨自身もそれに頷いた。