終わらない夢を紡ぐキミに
□記憶・暁月の下に…そして、盈月のように by 中西京介
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それから、オレたちの間で一磨をサポートする日々が始まった。
少しでも多くの時間を『彼女』の捜索にあててもらうために、だ。
一磨がこなさなければならない仕事以外は分担して出来るだけ請け負った。
全員何かと一磨を頼り支えられてきていたから、同時にみんな『彼女』が戻ってくることを強く願っていたから、メンバー全員自分の時間を削られても文句は言わなかった。
一磨は仕事をこなしつつも全ての休日を『彼女』の捜索にあてていて、彼女との思い出が残る場所を重点的に探していると言っていた。
そんな日が1年ほど続いたある日、一磨は弱音を吐いた。
仕事が激化していたこと、『彼女』の痕跡を一切見いだせなかったことが原因じゃないかと思う。
それに、責任感の強い一磨だから、オレたちにかかっていた負担が心苦しかったのだろう。
一磨は仕事を代わってもらうたびに申し訳なさそうに謝っていた。
オレのほうも『彼女』がいない事態が続いていたことに苛立ち始めていた。
あの秘密の告白をした日から『彼女』にはそれとなく避けられていたが、それでも、結婚してからの『彼女』はいつも一磨と一緒にいたから、ヤツに強く嫉妬しつつも側にいられたことは嬉しいことだった。
だけど、『彼女』の長い不在は自分でも想像していた以上にオレを苛立たせていた。
だから、一磨が弱音を吐いた時点でオレは決意した。
オレが『彼女』を見つけ出す、と。
そして、見つけられたら、自分のモノに出来なくても、今度こそ一磨との幸せを心から願おう、と。