終わらない夢を紡ぐキミに

□番外編◆お昼寝は緑のベッドの上でwith本多一磨
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「パパ、ここんとこ忙しかったもんね…」



私は微笑みながらため息をついて、小さな声で呟く。

その呟きが聞こえたのか、一磨は目を覚ましたようで、片目だけ開けて私のほうを見る。



「みんな寝ちゃったね」



私は寝ている子どもたちの近くに腰をおろして、彼に話しかける。



「……部屋まで連れていこうか?」



身体を起こし、私のそばに来て聞いてくる一磨。



「ううん、このまま寝かせとく。 今日は外でのお昼寝も気持ちよさそうだし」



私がそう微笑むと、一磨は私の後ろから抱きしめるように座った。

……そう、もうずっと就寝前のベッドの上で続けている『ゆめがたり』のときのように。

私が一磨に身体を預けると、彼も私の肩にあごを乗せてきた。



「せっかくのお休みなのに、ゆっくり出来ないわね」

「んー。 でも、こんな日じゃないと一緒に遊んでやれないからね」

「まぁ、そうだけど……」

「……いつもありがとう」

「ん? なぁに、あらたまって」

「そろそろ、子どもたちの世話、キツくなるだろ?

 もう少ししたらこの忙しさが落ち着くと思うし、そしたら、代わりに世話するから」



―――未だに人気を誇る、国民的アイドルグループ、Wave。

そのリーダーを務めている、私の夫、一磨。

彼に落ち着く暇なんてないハズ。

それでも、こう言ってくれる彼の心遣いが嬉しい。



「オレがいない間に転ばないようにね?」



そう言って、6人目の子ども、祢音がいるお腹を両方の手のひらで包み込む。

ちょうどその時、祢音がお腹の中で手足を伸ばしたような動きが伝わった。



「ははっ、祢音もママ気をつけてってさ」

「この子、一番暴れん坊かも。 お腹の中で動いてるとき、ギューって中から押されて、かなり痛いときがあるのよ?」



と私は笑った。

そのとき、丘を駆け上がる、海からの優しい風が、子どもたちの髪をなびかせ、他愛のない話をしている私たちを包む。

日差しも柔らかで心地いい。

あまりにも気持ちよくて、一磨の腕の中は本当に心地良くて、私は大きなあくびを一つ、した。

すると一磨は笑って、



「オレたちもここでちょっとひと眠りしようか」



と、私の横に座りなおす。



「うん」



額をくっつけて、二人で微笑み合う。

そして、触れるだけの軽いキスの雨を降らせて、一磨は私をそっと横たえる。



「愛してる……海尋」

「一磨……私もよ……」



最後に一度、深いキスをした後、一磨も私を抱きしめるようにして横に寝転ぶ。

緑の草むらのベッドの上で家族全員でのお昼寝に、これ以上ない幸せを感じて私は目を閉じた。

いつまでも、この幸せが続きますようにと願いながら―――。



〜 end 〜



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