終わらない夢を紡ぐキミに
□番外編◆十六夜月に誘われて with 本多一磨
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そして、一磨が仕事から帰ってきて、全員で夕食をとり終えた後。
「今日はお月見するだろ? 片付け手伝うよ」
と一磨が言った。
朝はお月見をするなんて言わずにお見送りをしたのに、考えてることは一緒だったんだと思うと、何だか嬉しくなる。
そこに、美音も手伝うと言い出した。
「じゃ、美音はパパと一緒にお皿を拭いてね?」
と、3人で夕食の片づけを始める。
他の子どもたちはというと、至音が下の3人の面倒を見ていた。
おかげで片付けがはかどり、思っていたよりも早くお月見を始めることが出来た。
家を出て、月が良く見える『山側の丘』のほうへ家族全員で歩いていく。
「おちゅきみ、おちゅきみー。
……あっ」
琴音がテラスの階段を下りてすぐにはしゃいで走り出していたが、坂の途中で滑って転んでしまった。
それを見た美音がお姉ちゃんらしく、
「あー、もー、走るからでしょー?」
と私の口調を真似しながら、泣いている琴音をあやしている。
その様子に一磨がくすくすと笑った。
「海尋そっくり」
「え、あ、もーっ」
「あ、ほら、そこ気をつけて」
からかいながらも気を使ってくれる。
『山側の丘』の上につくと、一磨は持ってきた大きなシートを子どもたちにも手伝わせながら広げた。
広げ終わったシートの上に子どもたちはそれぞれ靴を脱いであがり、ジャンプしたり寝転んだりしてはしゃいでいる。
はしゃぎ過ぎて飛び跳ねて転びそうになっている至音と音弥に、
「至音、音弥っ、ママに当たったらどーすんだっ!」
としっかりと一喝。