終わらない夢を紡ぐキミに
□番外編◆不可侵の女神- sacred goddess- by 中西京介
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終わらない夢を紡ぐキミに・番外編
〜不可侵の女神-sacred goddess-〜
by 中西京介
彼女―――海尋が新人アイドルとしてある歌番組でTVデビューする日。
オレは仕事が押していて、楽屋に挨拶に来たという彼女に会うことが出来なかったが、翔が彼女をオレたちの楽屋によく連れてくるようになり、2,3度目に初めて言葉を交わした。
言葉を交わすまではいろんな番組の収録で見かけはしたが、見た目はどこにでもいるような新人アイドル。
こんな世界にいるような人間なのだから、どうせ薄っぺらい女なのだろうと思っていた。
そんな中、翔が彼女に想いを寄せているコトがみんなにもバレてしまい、二人にちょっかいを掛けるためだけにオレは彼女のコトを意識して見るようになった。
皮肉にも―――それが彼女が明らかにこの世界の他の女たちとは違っていることを知るきっかけとなったが、そのときは、ただそれだけだった。
その後、彼女を射止めたのは翔ではなく、舞台で彼女と主役級で共演した一磨だった。
一磨と彼女の交際が始まったのを知ったとき、先を越されたという思いはなかった。
一磨の性格を考えると、彼女と『深い関係』になるまでにはかなり時間が掛かることが予想出来たから、その間にちょっと遊んでみようかなどという気持ちが湧きあがる。
遊び飽きれば一磨に返せばいい―――そんな最低な考えしかなかった。
なぜなら、オレの周りにはそういう火遊び好きな女ばかりだったから。
だけど、あの日―――相談事があって一磨の部屋を訪れた日―――から嫉妬に苦しめられる日々が始まった。
「一磨ぁ、ちょっといいかー」
一磨の部屋のドアフォンを鳴らしてみる。
が、出ない。
今日はオフだったし地下駐車場に車はあったから、たぶん家にいるとは思う。
ふとドアノブに手をかけてみると……ガチャリ、とドアが開いた。
一磨にしては珍しく不用心だなと思いながら部屋に入っていく。
「一磨ぁ、居ねぇのー?」
リビングに入ったとき―――ドアが開いている寝室から女の声が聞こえてきた。