終わらない夢を紡ぐキミに
□番外編◆不可侵の女神- sacred goddess- by 中西京介
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『…ん……やっぱりこわい…や…』
いつも笑顔と一緒にある、聞き慣れた声。
その声の主が海尋だということに気付くまで、たいして時間はかからなかった。
(…………え? 海尋ちゃんが一磨の寝室…に……?)
『……こわ…い…………っ……お願………や……』
『海尋ちゃん……ごめん、これ以上はもう………。
キミを…京介に取られたくない…オレだけのものにしたい……。
………少しだけガマンして…?』
『…え………っ…あぁっ!
…………やだぁっやめて…お願い…っ!……』
荒い息遣いの中の会話の後に聞こえてきたのは、彼女の悲鳴に近い声。
その瞬間、頭の中が真っ白になり……ただ茫然と立ち尽くす。
一磨は気付いていたんだ―――オレが彼女に手を出そうとしているコトに。
そして、警戒していたんだ―――そんなことはおくびにも出さずに。
『……………一磨、さん………一磨…っ…………あっ…ンっ……!』
彼女は必死に一磨の名前を呼ぶ―――。
オレは一磨の部屋から逃げ出した。
なぜ玄関を入った時に彼女の靴があることに気付かなかったのか……。
部屋に戻ってからも茫然としていた。
ショックの大きさに頭を抱える。
ただ遊ぶだけの女ならこんなにショックは受けなかった……。
―――いつの間にか、彼女はオレの心を支配していたのだ。
彼女が一磨のモノになったときに気付くなんて―――。