Hazardous Material
□Hazardous Material / Fletfulness
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Hazardous Material-危険要素-
それからオレは出来る限り彼女のそばにいるようにした。
メンバーにはあの事実だけは隠しながら協力を仰ぐようにした。
あの、N局にいるときは彼女の控え室は極力使わせないようにし、オレだけでなくメンバーとも一緒にいる時間を多くするようにした。
その甲斐あってか、ヤツらはオレたちを忌々しげに見ながらも手を出してくるようなことはなかった。
だけど、それから2ヶ月が過ぎたある日―――オレたちは全員で社長に呼び出された。
「お前たちに○○プロから抗議が来てるぞ。
特に、亮太。 ご指名だ」
「え…」
「あっちの▽▽に因縁つけてるとか。
覚えはないか?」
オレは社長の言葉に口を閉じる。
○○プロの▽▽。
○○プロは業界最大手の芸能プロダクションで、▽▽はそこの男2人組のユニットだ。
―――そして、海尋ちゃんの控え室で彼女を凌辱し続けていたヤツら。
その社長はN局の重役と不透明な程の昵懇の仲であると陰で囁かれ、▽▽にはその○○プロがかなり力を入れている。
そのせいか、あのN局での出演が異様に多い。
「因縁なんかつけてませんよ。
社長、僕がそんなこと出来るわけないでしょー?」
気取られないように出来るだけ明るく言う。
だけど社長は難しい顔をしたまま続けた。
「……あの二人組についてはオレも調べてみたよ。
事務所の力を利用してかなり悪どいことをしているのはすぐにわかった。
―――あの二人が原因で何人かの新人タレントが潰された、とかな」
その言葉にオレはつい反応してしまった。
そんなオレの態度に社長はすぐに気付き、
「やはりそういう類のトラブルがあるのか」
とため息をついた。
「お前たちに振りかかった火の粉は我が社が全力を上げて振り払う。
だが、ほかの事務所のタレントがどうなろうと―――」
『うちには関係ない』。
そういう言葉が続くのがわかっていたから、社長にカッとなってしまい、メンバーに隠していた事実をつい口にしてしまう。
「……彼女に暴行を加え続けてるんですよ、アイツら!
しかも、二人がかりで!!」
そのひとことでその場が凍りついたのがわかった。