Hazardous Material
□Hazardous Material / Fletfulness
3ページ/5ページ
社長室に呼び出されてから1時間後―――。
全員で退室し、ケータイの電源を入れる。
「…!」
画面を見てオレは固まった。
彼女からの3通のメールが入っていたのだ。
1通目には急遽N局で穴埋めの仕事が入ったことが、2通目には今日はマネージャーがついてこれなくなったことが書かれてあった。
そして3通目にはこれから局入りをするということが―――。
3通目のメールの発信時刻は今から30分ほど前。
「やられた……!」
つい大声で叫んでしまった。
メンバー全員が一斉にオレのほうを向いて何事かと尋ねるが説明するのももどかしい。
この後の仕事がなかったオレは走り出してN局に向かった。
この時間帯だとどんなに車を飛ばしても到着するのは1時間後。
そのとき、オレはハッとした。
今日、あの時間にメンバー全員が呼び出されたことも仕組まれたものだとしたら?
もしこれがヤツらに仕組まれたものならば仕事自体は虚偽で、彼女を呼び出すための―――。
全てのことに対して、疑心暗鬼になっていく。
「ちくしょう……! 汚ねぇぞ……!!」
車のハンドルを握りながら叫ぶ。
少しでも早く辿りつけるよう、車の間を縫いながら車線変更していく。
他の車からのクラクションが響くが、それすらも耳に入らなかった。