Hazardous Material
□The Beginning of the Tragedy / Agony of Hopeless Grief
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「あのタレこみしてくれたの、お前たちだろ?
おかげでお払い箱になっちまったよ。
オレたち、傷ついちゃってさぁ。
だから、この女の身体で慰めてもらおうと思ってー」
そう言ってあの下卑た笑い声が聞こえてきた。
その向こうで微かに聞こえる、海尋の助けを求める声―――。
「クビになったのは自業自得だろっ?!
海尋ちゃんを返せ!!」
「遊び終わったら返してやるから待ってな。
一度に5人も相手させたらボロボロになるかも知んねーけどよ」
笑いながらそう言って、通話は切れてしまった。
「ちくしょう……っ…!!」
オレは全身で叫び、ケータイを握りしめた。
すぐに状況を理解したのか、京介がオレのケータイをすかさず奪う。
「?!」
「ちょっと貸せ。
写真から位置がわかるかもしれない」
「え?」
「今のスマホ、GPS付いてるだろ?
それ利用して、写真にも位置情報が添付されるコトがあるんだってさ」
京介はオレのケータイを操作しながらそう言って、そのあと、自分のケータイでどこかに電話をかけた。
しばらくして折り返し京介のケータイに連絡が入り、
「行くよ」
と京介が駐車場に向かって走りだした。
写した場所が特定できたらしく、それからメンバー全員でその場所に向かう。
彼女が無事であることを祈りながら。
―――頭の片隅では目を覆いたくなるような現実を目の当たりにするだろうと思いながら。