Hazardous Material

□My Everlasting Pure Angel
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―――あの日、彼女が落下した地点には植え込みがあって、それがクッションとなり、海尋は重傷を負ったものの、奇跡的に命だけは助かった。

植え込みに倒れていた彼女がほぼ全裸であったこと、その身体には暴行を受けた様々な証拠が残っていたことは大きな物的証拠となった。

そして、暴行中の映像が残っていたことからすぐに捜査が始まる。

彼女が飛び降りた直後に逃げ出した連中も、オレたちがあの場所に到着すると同時に連絡していた警察によってすぐに捕まった。

さらに、あの場に○○プロの現役タレントがいて、同じように彼女を暴行していたことを別の一人があっさりと自供する。

そのことから○○プロに再度捜査が入り、様々な過去とN局重役との不透明な関係が暴かれた。

最大手プロダクションの所属タレントによる薬物汚染問題と清純派アイドルへの暴行事件が表沙汰になったことによって芸能界は激震する。





そして、目の前での出来事に受けたショックの大きさから、しばらくの間、オレは笑うことが出来なくなっていた。

当然、仕事にも支障をきたす。

そんなオレを見て社長は、



「あの女はやっぱりお前にとって《危険要素》だったな」


と冷たい言葉を漏らした。

彼女が悪いんじゃない―――そう言いたかったが、オレたちのファンの中にも彼女のことを悪く言うヤツもいて。

だから、それ以上彼女が中傷されないために、オレは何事もなかったように明るく振舞うよう努力した。

仕事を夢中になってこなすが、終わると、様々な感情が押し寄せてくる。

結局は守り切れなかったことへの激しい悔恨。

他人を利用していた、過去の自分への嫌悪。

そして―――永遠になるはずだった、ほんの一瞬だけの幸せ。

心と体がバラバラになるような感覚に襲われる日々の中、精神的に支えてくれたのはメンバーだった。





半年もすると海尋の体の傷はほとんど治り、引き続いて静養するために1年前に今のこの場所に転院した。

この療養所は自然に囲まれていて、面会も条件が厳しくて限定されるため、彼女が好奇の目にさらされるコトはない―――。




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