想像ストーリー☆

□待ち合わせ(右×亀) TIME様リクエスト
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『右京さぁ〜ん、どこにいるんですかぁ?』

電話の向こうで声を上げる亀山君。
行方を探す彼が、僕の数メートル先にいます。
ですが彼は僕を見つけられないようです。

「探し出して下さい」

それは普段とは違う格好をしているからでしょうか。
前髪は下ろしており、目にはコンタクトレンズを。
上はアイボリー色のポロシャツ、袖には赤いラインが入っており、下は黒のチノ・パンツでコーディネートしました。
どうしてこのような格好をしているかというと……

「このままでは日が暮れてしまいますよ?」

今日は彼とお出掛けをするからです。
所謂デートというものをしようとするため、とある場所のベンチで待っていたのですが、相手の亀山君は集合時間に遅れ、そして

僕を見つけ出せないのです。
まるで馬の目の前に人参をぶら下げているのに反応を示してくれないような。
とにかくもの悲しいものです。

『教えてくださいよぉ』

猫なで声で答えを求める彼。
すぐに教えてしまってはつまらないので、一つずつヒントをあげましょう。
時間を守れないところも愛しく、どうしようもなくかわいい彼を苛めたくなってしまう、僕の悪い癖。

「分かりました。では一つ、髪は固めていません」

誰に見せるわけでもないのに、人差し指で空を指す。
これも癖の一種でしょうか。

『それ答えになってないですよ』

と半笑いに喋る彼ですが、先にいる彼を見ると、表情は真剣そのもので、目には先ほどとは違うものが宿っています。
やっと見つけてくれるのでしょうか。
頭を左右に振りながら捜索中の彼に視線を向ければ、その思いは儚く崩れ去っていきました。

『ちょっ……どこですかぁ?』
「全く、君と言う人は……。仕方がありません。僕は今日は眼鏡をかけていません。そして上は肌色のポロシャツで、下は黒の」
『あぁ!! いた!!!』

服の説明があと少しで終わろうとしていたのに、彼は僕を見つけた途端、携帯を閉じて此方に走ってきました。

「ごめんなさい、ちょっと色々してまして……」
「知っています。なんの理由も無しに遅れるなんてこと無いでしょうから」
「……怒ってます?」
「いいえ、全く」

言い訳を聞く気もないなんて素振りをしていますが、内心とても気になっているんですよ?
それもきっと僕の中から見つけられないでしょう、分かっています。
でも言いたくありません。
理由くらいなら分かるでしょう?
僕を見つけられなかった君でも。

「う…右京さん……」

言葉を詰まらせながら僕の名を呼ぶ彼に視線を移すと、頬を桜色に染めて此方を見詰めていました。
もしかして顔にゴミでも付いているのでしょうか。
携帯電話以外、特に何も顔に近づけていなかったのですが。
目をパチパチさせ、何です? という意思表示をしてみました。
すると彼は余計顔を真っ赤にさせます。
一体何が……

「あ、あの…いつもと、違くてですね……、その、すごく…可愛いです!」

はいぃ?
思わず口から出そうになってしまいました、がなんとか押さえました。
ここで流されてしまってはいつもと同じになってしまいます。
いつもと変わらない彼の格好、ジャケットは腕に掛けていますが、やはり格好いいことに変わりは無くて。
さっきの事といい、全て仕返してやろうと思いこんな事を言ってみます。

「今日も亀山君は素敵ですね」

言ってみれば顔をやはり赤くした彼が、顔の前で両手をブンブン振っています。
本当に可愛い、これでは僕の裏の部分を逆撫でするだけなんですがねぇ。
それにも気付けないところが君のいいところなんでしょうが。

「あ、右京さん! もう時間が無いです!」

そう言うと彼は僕の腕を掴み、走り出しました。
自然と僕も走る形になります。

「言い訳、後で聞いてくださいね。話す事いっぱいあるので」
「分かりました。僕が納得できるようなものをお願いします」
「はい!!!」

太陽が燦々と輝く中、何よりも眩しい君の笑顔と腕に引かれ、向かうは僕らの目的地。
今日の一日デートの最後に予定していた僕からのキスのプレゼントはお預けと言う事で構いませんね?
何故かって? それは簡単です。時間に遅れるわ、見つけることはできないわ……。
もう分かりましたよね? それなら覚えておいてください。



僕は意外と根に持つタイプだと言う事を……




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