短編

□僕を見ない君なんて
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やれ島が見えただおおきい海王類がいただとか
野太い野郎の声で私は目を覚ます。

嫌いなわけではなく、むしろ人がいるってこをが分かるし
みんな個性的だから今日はあの人が大声だしてるな、とか思う
なので好きな方です。

そんないつもの声を聞きつつ私は起き上がる
低血圧なわけではないので目覚めはいい方だが
あいにく昨日の夜は宴があり、夜遅くまで起きていたので
いつもより少し寝ぼけながらのろのろと着替えた。


今日はサッチのお手伝いでもしようと意気込み
寝癖を手でちょいちょいと直して部屋を出た。

そこでふと、

「あれ」

視界が悪い

「あ、眼鏡」

忘れてた

部屋に戻ってベットの近くの子棚の上を手探りで探すが、

ない。

棚の中にも床にもベットの中にもなかった



「おはよう名無しさん」
「おはようイゾウさん」
「ふふふ、寝癖、直ってないじゃないか」

手櫛で直らなかったんですもん
そういうと私らしいと笑われた

「そういえばイゾウさん、私の眼鏡を知りませんか?」

目が悪い私はいつも眼鏡を常時している。
それはみんなが知っている事。

「う〜ん知らないねぇ。他の奴に聞いてみな」

役に立てなくてゴメンな
ふわりと笑うイゾウさんは一瞬性別を伺いますよね

宴があったからきっと誰かが持ってたりね

そういって私の頭をぽんぽんと撫でてイゾウさんは歩いていった。


だったら他の人にも聞かなきゃ




「サッチさん」

おはようございます。
少し遅い朝の挨拶をキッチンの方へ除きながら言うと
サッチさん以外の人も反応してくれた

「眼鏡ぇ〜?…うーん…俺は知らないや」

ごめんなーとお皿をテキパキ洗いながらサッチさんはこっちを向いて言った。
他のみんなも知らなーいと洗いながら私の方を向いて…

こっち向いててもひょいひょい次の作業にとりかかるサッチさんは
相変わらずすごい。
手伝いたいが、眼鏡がないため今行くとただの足手まといだ。

眼鏡が見つかったらまた戻ると言って私は食堂から出た




「おはようございますマルコさん」
「おはよい。」

ガチャリと扉を開けて部屋を覗けばマルコさんは眼鏡をかけて本を読んでいた。

眉間にシワを寄せているあたり、どうやらサスペンス小説を読んでいるらしい
ぶつぶつと「こいつは白…となると」「…はははは、とけたぞい」
…楽しそうだ。

「眼鏡?…俺の老眼kげふん違うしねい…」

知らねぇよい。

みんな知らない、
またマルコさんはサスペンスワールドへ戻ってしまい
詳しく聞くことも出来ない。

他に誰に聞こうと思いながらとぼとぼと扉へ向かえば

「名無しさん。 」

振り向くとマルコさんは私を見ていた。
本を閉じて眼鏡を取った。

「そろそろ行ってやれ、」

それだけ言うと
マルコさんは私に老眼鏡をかけた

「…老眼鏡じゃないよい」
「自分で言ってたじゃないですか」
「あー…サッチに言われてよい、思わず言っちまっただけだい」

ほら行け。

とんっと押されて私は部屋を出た。



またサッチさんに会って、
眼鏡が見つかったのか?と聞かれて
マルコさんにかしてもらったのだと答えれば

「アイツ、見てたぜ」



早く行ってやれ、年頃の男の子だから










コンコン

「おはよう」


エース。





扉はなにも答えてはくれなかった。
待っても返事はないし物音もしない。
取手を触り、下げた

がちゃり。

エースは起きていた。
ベットに座って、膝に肘をのせて
顔はうつむいていて表情が見えない。

こういうエースは大抵怒っている。

「エース。」

おはよう。
せめて返事くらいしてよ。

「…はよ。」

簡単に挨拶したエースは顔を上げた。

エースの顔には眼鏡がかけてあった。

もちろん私のだ。


返してを言う前にまずエースをどうにかしよう。

ゆっくり近づいてエースを見る。

5pもない距離で彼を見下げれば
彼はものすごく怒ってた

いや、拗ねていた。

可愛いと思い思わず握った拳が震えたがバレるともっと怒る。
しまいには頬を膨らますのだからもっと困る。


「なんで俺に聞いてこないんだよ」

眼鏡を知りませんかって

「だって、」

最後に聞きたかったんだもの


知らなかったら探すために他の場所へ行かなくてはならないから


「知らなくても俺と一緒に探せばいいじゃねーか」

まだ彼の機嫌は直らない

「名無しさんはいつもそうだ」

俺よりみんなを優先する
俺よりみんなといる方が楽しそう
俺よりみんなと話す方が笑ってる

「なぁ、俺達、好き同士だよな」

なんで?





俺を見てくれないの?


エースは私ではなくマルコさんの眼鏡を見て言った。



無償に嬉しかったがそれと同時にすごく恥ずかしい




「…エースはわがままだね」

見下げたまま言うと少しむっとした

教えてあげる。


デザートや甘いものは最後にじっくり味わいたいの
何を話せば喜んでくれるかだとか考えすぎるの
貴方といると心臓が破裂しそうで笑えないのよ


好きすぎて



女の子にここまで言わせるなんて


「エースってほんとわがまま」


そこも好きだよ

ごめんね

次からはもっと頑張るね

だから


「もういい」

もう、十分です
眼鏡ごと手で顔を覆う彼の耳は赤く染まっていた

我慢出来なくて思わず両手でくしゃくしゃ撫で回せば
ぎゅっと腰に腕がまきついた

「俺めっちゃ恥ずかしい」

ぎゅうううとしめながら彼は頭をぐりぐりお腹にこすりつける

「私も恥ずかしい」

一緒だね


彼は顔を上げた。

幼い子供のような笑顔の彼は


とても嬉しそうな顔だった





(慣れるように10分くらい見つめあって話そうぜ!)
(え、そ、うえ、は?)
(はい、よーいどん。)
(…)
(……)
(ねぇもう無理だよ恥ずかしいよぎぶあっp)
(始まったばっかだぁ!!)
(固定するのやめてえええええええ!!!!!)





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いっちゃいちゃかっぷる






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