Trip梯

□04
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ブランコに座る少年の前に立って声をかけた。自分が話かけられたという事実に戸惑っている少年を無視して自己紹介する。


「私、成沢凪。凪でいいよ。よろしくね」

「う、うずまきナルト、だってばよ」

「ナルト君ね。何して遊ぶ?あ、あっちの皆と鬼ごっこでもする?」

「や!…り、たいってば……、でも」

「じゃ、行こっか!」

俯いてしまったナルト君の左手を自分の右手で攫って、きゅ、と繋ぐ。後ろで息を飲む音が聞こえたけど無視して、先ほどの三人と一匹が集まっているところに走った。


「ね、皆で鬼ごっこしよー」

「いいよ、やろっか」

「めんどくせー」

「ヒャッホー!俺達の出番だな、赤丸!」

「キャンキャンッ」


初対面である私の誘いにのってくれたことに安堵しながらも、自己紹介する。私が名乗ったら順番に「ボク、秋道チョウジ。チョウジでいいよ」「奈良シカマル。シカマルでいいぜ」「オレは犬塚キバ、こっちは赤丸!オレ達のことも名前でいいぜ!」「キャンッ」と自己紹介してくれた。


……赤丸が可愛い。許可を貰ってだっこしてみる。…はわ、ふわふわ。可愛い。


ゆるゆるとだらしなく頬が緩んでいくのがわかる。でも堪えるつもりもない。だって可愛いもんは可愛い。緩みきった頬のまま三人に向き直る。


「赤丸可愛いねー」

「「(笑った…。ぇ、コイツ女?いや、でも……)………。」」

「…? おーい?」

返事がない、ただの屍のようだ。


最初に我にかえったシカマルが「……お前は?」とナルト君に尋ねる。ナルト君は肩をビクリと震わせ「あ、お、オレってば…」と呟いたが、キバが言葉を遮った


「知ってるぜ、うずまきナルトだろ?なーんだ、全然フツーじゃねぇか」

「あー、お前が。へー、もっと悪人面してんのかと思ってたぜ。」

「まぁ人の噂なんて信憑性は薄いものが多いからねぇ」

「んなことより、じゃんけんしようぜ!さーいしょは…」

「? オイ、早く構えろよ。ナルト」

「え、あ!」


じゃんけんの輪に入らず呆然としているナルト君に声をかけるシカマル。ナルト君が緊張しているのが伝わってくる。そんなナルト君に気づいたのか、チョウジが優しく「ジャンケンしようよ、ナルト」とナルト君の手をとる。


「あ、オレ、」

「ナルト君、一緒に遊んでいいんだよ」

「!!」

凪が意識して発した優しい声にナルトは蒼い瞳を大きく見開いて凪の方を見た。にこりと微笑み小さな声で「やったね」といえばナルトはようやく満面の笑みを見せてくれた。


やっぱり、君は笑顔じゃないとね


それから全員でじゃんけんをした。結果鬼はシカマル。「めんどくせー」ってぼやくシカマルから距離をとるため皆一斉に走り出した。すると後ろから声をかけられた。


「あれ、ナルト君。どーし「ありがとうってば!」……え?」

「凪ちゃんがいなかったら、こんなことできてなかったってば。だから、ほんとありがとうってば!!」


そう言って、笑みを向けてくれるナルト君。

私の中で、何かが変わった気がした。


「私は何もしてない。ナルト君が素敵な人なんだって周りがやっと気付いただけ。だから、自信もって。ナルト君なら大丈夫。でも、どうしてもダメなときは言って。私なんかでよかったら力になるから」

「へへっ…、ありがとうってばよ」



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