Trip梯

□09
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ついに、今日は卒業試験の日。心なしか皆の表情に緊張の色が見える。


「で……、卒業試験は分身の術にする。呼ばれた者は一人ずつ隣の部屋にくるように」


チラリとナルト君の方をみると、ダラダラと汗をかいていて、苦手な術なんだな。と一目でわかり思わず苦笑してしまった。

一人、また一人と試験が進んでいき、ついに私の番。


「成沢凪」

「はーい」


教室を出るとき、女の子数人にがんばれと言われたので、微笑んでありがと、と言い隣の教室に向かう。(顔が赤くなってたのは気にしない。教室出た後きゃーって聞こえたのも気にしない)

隣の教室に入ると、イルカ先生とミズキ先生がいてその前には額当てが並んだ机がある。
そういえば何人になればいいのかな。


「イルカ先生、これって何人になればいいんですか」

「ん?まあとりあえず三人だな。できるなら何人でも良いぞ!」

「はーい」


私は素早く印を結び、三人に分身した。


「合格だ!よくやったな!!」


そう言いながら額当てを渡してくれるイルカ先生に「ありがとうございまーす」と言って受け取る。


「なんだか余力ありそうだね。何人まで分身できたんだい?」

「さあ……。試したことないんでわかんないです」


ミズキ先生に適当に返して教室から出る。額当てを左の二の腕に服の上から結び、外に出た。そこに広がっていた光景は、私を少し寂しくさせた。

試験に合格した我が子を迎えに来たのであろう親と、喜びながらその親に抱き着く子供達。

何だかいたたまれなくなって少し離れたところにある木に上り、その光景を眺めた。


ふと我に返り下を見るとナルト君がいた。とても寂しそうにブランコに跨がるナルト君。
でも、声はかけなかった。今から経験することが、ナルト君にとってはとても大事。だから、邪魔するわけにはいかない。


ナルト君がどこかに行ってから木の下に降り立ち、家への道を進んだ。



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