Trip梯

□Let's trip!!
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暖かい日差しの中を吹き抜けていく冷たい風。風に乗って舞っていく落ち葉たちが一層季節感を感じさせるある日の午後。


「で、この文は分詞構文。無生物主語だから、」


とある高校の3年の教室。受験を間近にひかえた生徒たちが、先生に頼んで特別に開講してもらった授業に耳を傾けている。時期が時期だけに真剣な顔付きの生徒が大半を占める中、一人つまらなさそうに窓の外を眺めて欠伸をしている少女


「おーい、成沢!これ読んで訳してみろー」


見兼ねた教師が少女をあてて立たせる。しかし流れるように英文を読んだ後、サラリと和訳を言った彼女は、もういいっスか。なんて言いながら再び席についた。
何となくやるせない教師は、つまらなさそうだな。と少女に言うが、彼女は、いや、そんなことは…。と濁すのに留まった。

と同時にチャイムが響き、教師は教室から出ていった。


「凪ー!ここ教えてー」

「ん。どこ?あー、これはねー」

「あ、俺も俺も!」

「あたしが先!」
「俺だって!」

「並んでクダサーイ」
瞬間的に人に囲まれる先ほどの少女、成沢凪。真面目で友達思いの彼女は教師からも生徒からも良い評価を受け、好かれている。たまに気まぐれが発揮されるが、そこも彼女の個性であろう。
特別成績が良いわけではないが、相手が理解してくれるまで根気強く教えてくれる彼女には自然と人が集まる。男女を問わず、だ。


「成沢サンキュー!お前マジ言い奴!また今度漫画貸すわ!」

「ありがとう凪!!あたしも何か貸してあげるね」

「じゃあジャンプ系で!」

「わかってるっつの!」

「やりっ!Thank you!」

「Σ発音いい腹立つ!!」


周りに人がいなくなったのを確認し、静かに教室から出て木枯らしの吹く道を歩く。






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