Trip梯
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浮遊感、肌に感じる体温。くつくつという女性と男性の笑い声。体中に感じる安心感。
鉛のように重く、仕事をしない瞼に鞭打って薄く開く。
目に映ったのは肩までの銀髪の女性と、その女性に寄り添う緑のベストを着た黒髪の男性。
私と目が合った女性は、愛しそうに目を細めて言った。
「凪、お母さんよ。産まれて来てくれてありがとう」
「これからよろしくな」
「……あうー、ぁー…。(……ちきしょう仁さんめ。ちゃんと説明しろってんだ……。)」
目覚めて一番にはいたのは悪態だった。
動かしにくい短い手足に重たい頭。上手く回らない舌とそこからでるワンパターンな声。
一般的にいう赤ちゃんの姿に、凪はなっていた。
「ぁー、うー?(お父さん、お母さん?)」
もー、喋れない。あーやだやだ……。ってかここどこ?お父さん(らしい人)の服、何か見たことあるし。しかもあれは……、額当て?に木の葉?のマーク。って、ことはここは……
「ホントに綺麗な瞳ね。私と貴方の間にこんなキレーな子が産まれるなんて」
「確かに。髪は君に似たんだな」
……ん?ちょっと待って。私の髪と目は何色?
父さんは髪も瞳も黒、母さんは髪が銀に灰色の瞳。フツーはこれのどっちかなんだけど……
「銀髪に碧眼。将来美人になるよ、この子は」
あ〜、やっぱりー。
こうして、私の忍の世界においての、2回目となる赤ん坊生活が幕を開けたのでした。
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