Trip梯

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昼を一緒に、というサスケの誘いを断って、一人木の上で作ってきたお握りを食べる。

ここからだと三人の姿が見えて何かと都合が良い。


「あ。ナルト君サスケを縛っちゃった」


ナルト君変化の術うまいな。しかし言うことがくさい!あんた誰だ!
あ、でも震えながらトイレに行っちゃった。おっと、タイミング良いのか悪いのか、サスケが縄抜けに成功。ナルト君探してるんだな。

あ。そろそろ時間だ。皆のとこいこっかな。

私は木からおり、三人のもとへ向かった。微かに聞こえてくる声は、サクラちゃんのもの。


「いーわねー、ホラ!一人ってさ!ガミガミ親に言われることないしさ」


あー、そっか。こんなシーンもあったな。サスケの呟きは声が小さくて聞こえなかったけど、最後の一言だけは聞こえた。


「お前、うざいよ」


そのまま立ち去ってしまうサスケ。私は、立ち尽くしているサクラちゃんに優しく声をかけた。


「……サスケ、言葉がキツイから誤解されがちなんだけど、嫌いにならないであげてね」

「凪ちゃん……」

「呼び捨てで良いよ。」

「……凪、私…サスケ君に嫌われちゃったかな」

「大丈夫だよ、安心して。」


ベンチに座り、うなだれるサクラちゃんの頭を撫でる。


「ただ、親の話はサスケにタブーだから」

「…?」


悲しそうな顔をして見上げてくるサクラちゃんに「あんまり人に言わないでね。」と人差し指を口元にやりながら言い、「サスケには、家族がいないんだ。」と小さな声で囁いた。
サクラちゃんは目を見開いた。


「だから、親のいないナルト君の孤独を知ってるから、ああいうキツイ言い方になっちゃったんだと思う。独りは、ホントに寂しいから……。」

「…もしかして、凪も……?」


サクラちゃんのその問い掛けに私は少し微笑んで「五歳の時にね。」とだけ言った。


「ごめんなさい、私……」

「私は大丈夫。ただ、これから気をつけてね。サスケ、不機嫌になるから」


不機嫌なサスケってめんどくさいんだ。と言ってにこりと微笑めば、サクラちゃんは少し頬を染めてありがと、と言ってくれた。


「凪はカッコイイね」

「私?そんなことないよ」


サクラちゃんはにやりと笑って「くの一の間でサスケ君の次に人気あったの知ってた?」と聞いてきた。初耳。


「え。嘘。」

「いつもやる気なさそうなのに何でもできて、わからないとこを丁寧に教えてくれるし。それに髪も瞳も綺麗で、声もちょっと低め、しかも凪って中性的な顔してるから。ホントに知らなかったの?」

「や、サクラちゃん褒めすぎ……。え、だって確かに周りに人はいたけど、それは隣のサスケ目当てだと思ってたし」


アカデミー時代、私の隣の席には基本的にサスケがいた。そして私たちの周りには常に女の子が溢れてた。頬を赤く染めて話しかけてくれる子達ばっかりで、可愛いなーって思って話してた。でもその子達の目的はてっきりサスケだと思ってたから、サクラちゃんの話が実は信じられない。

サクラちゃんの話が本当なら、小さいときに男の子に間違われたのもそのせいなんだろうか。


「あーあ、私も凪みたいに綺麗で可愛くてスタイルよかったらなー」

「何で?サクラちゃんの方が可愛いよ。」


ベンチの背もたれにぐでーっともたれ掛かるサクラちゃんの、サラサラでまっすぐなピンク色の髪を手にとる。


「このピンク色の髪だってちゃんとケアされてて綺麗だし、サクラちゃん自身も可愛い。大丈夫、自信持って。」

「………凪、それ天然?」


サクラちゃんの言ってる意味がわからなくて首を傾げる。するとサクラちゃんはすっくと立ち上がり、少し赤い顔をこちらに向けて言った


「そろそろ時間ね、行きましょ」

「了解。」


私が立ち上がるのを待ってくれていたサクラちゃんは「あと、」と言葉を区切り「サクラって呼んでくれない?」と聞いた。私は何だかサクラちゃんがさらに可愛く見えてクスリと微笑んだ。


「勿論。よろしくね、サクラ」


その後、私達は担当上忍に会うために教室に戻った。




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