Trip梯

□14
2ページ/2ページ




「ククク……、終わりだと? …分かってねェーな。サルマネごときじゃあ…このオレ様は倒せない。絶対にな」


首筋にクナイを当てられているにもかかわらず、焦った様子はまったくなく平常通りの口ぶりでカカシ先生の戦闘を評価しはじめるザブザに、私は恐怖しか感じない。


「クク……しかしやるじゃねぇーか!」


怖い。この人の全てが。圧倒的な経験値の差に私はくじけそうになる。


「けどな…オレもそう甘かぁねーんだよ」

「!!!」

「そいつも偽物ー!?」


悶々と考えている間にカカシ先生の後ろに本物のザブザが現れ、少しの応戦のあと蹴飛ばされたカカシ先生は水の方へとんでいった。

水はまずい!!


「そのなかはダメだ!カカシ先生!!」

「!?(凪…?)」

「!(またあのガキ…)」


ザブンと大きな音をたてて水に落ちたカカシ先生。浮上して来たところをザブザの水牢の術に捕らえられ、身動きができなくなってしまった。

ちっ、遅かったか…!


「ククク…、ハマったな。脱出不可能の特製牢獄だ!お前に動かれるとやりにくいんでな」


言いながら印を組むザブザ。


「…さてと…、カカシお前との決着は後回しだ。…まずはアイツらを片付けさせてもらうぜ」


私達の前に一体の水分身が現れる。…気のせいかな?嫌な予感が…


「ククッ…偉そーに額当てまでして忍者気取りか…。だがな、本当の“忍者”ってのはいくつもの死線を越えた者のことをいうんだよ」


水分身がだんだん風景と同化していく。


「つまり…オレ様の手配書にのる程度になって初めて忍者と呼べる…。…お前らみたいなのは忍者とは呼ばねェ…」


突如目の前に現れたザブザに反応できず、ナルトは蹴飛ばされた。

ナルトを蹴飛ばした後、ザブザは凪の方に駆けた、素早く繰り出された一撃目をギリギリのところでよけ、ザブザの背後に飛びのいて距離をとった。


「ただのガキだ(銀髪のガキ、このオレの攻撃を二度も……)」

「凪!ナルトォ!!」

「(凪のやつ、あのザブザの攻撃を避けやがった…!)」


サスケの顔が驚愕でみちるなか、水牢の中でカカシが叫ぶ。


「お前らァ!!タズナさんを連れて早く逃げるんだ!コイツとやっても勝ち目はない!オレをこの水牢に閉じ込めている限りこいつはここから動けない!水分身も本体からある程度離れれば使えないハズだ!とにかく今は逃げろ!」


カカシが言い終わった瞬間、凪の懐にザブザがもぐりこみ攻撃した。

しかし凪はそれを後方に飛びのくことでギリギリかわし、再び距離をとろうとしたが、ザブザの方が素早く凪に近付き腹部に二撃目を直撃させた。

血を吐いて凪の体が前のめりになったところをザブザは首を捕み高く持ち上げた。


「が、ぐぅ…っ!」

「凪!!」


自分の首を掴んでいる手をどうにか外そうと手をかけるが、鍛え上げられた肉体は、子供の力ではビクともしない。


「勘が良いこの銀髪のガキは生かしとくと後々面倒なことになりそうだ。……芽は早めに摘んどかねぇとなぁ」

「皆、逃げ……、ぐ、ぅっ!!」


首を掴む手に力が篭る。ぎちぎちと首が嫌な音をたて、目の前が霞んでザブザの顔がよく見えなくなってきた時、ナルトの声が聞こえた。


「うおおおお!!」


凪の首を掴んだまま、走ってきたナルトを蹴り飛ばすザブザ。

ザブザの意識が自分からナルトに移り、一瞬できたザブザの隙をつき凪は影分身を一体つくりだして、ザブザの腕をクナイで刺した。


「ぐっ!(このガキ…!)」


首を掴む力が緩んだ隙に抜け出したが動くことができず、その場にうずくまる。しかしそんな凪の体をサスケが抱え、ナルト達がいる方へ移動した。


「ぜっ、はっ…ゴホッゴホッ」

「落ち着け、ゆっくり息を吸え」

「はっ、は……、ありが、と…サスケ」

「ああ…」


自分の腕の中で力無く微笑む凪を見て、サスケは自分の力の無さに唇を噛み締めた。


「(オレにもっと力があれば、凪をこんな目には……!)」


凪の息が落ち着いてきたとき、ザブザに蹴り飛ばされ、倒れ込んでいたナルトがゆっくりと起き上がった。


「おい…そこのマユ無し」


ザブザの額に青筋が浮かぶ。


「お前の手配書に新しくのせとけ!いずれ木ノ葉隠れの火影になる男」


ナルトがゆっくりと額当てをつける。


「木ノ葉流忍者!うずまきナルトってな!!」


わぉ、ナルトかっこいい!


「サスケ!ちょっと耳貸せ」

「何だ」

「作戦がある」

「フン、あのお前がチームワークかよ」

「いいじゃん、がんばれ」


ナルトが口元に流れる血を拭いながら言った


「さーて、暴れるぜぇ」



前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ