Trip梯
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夢を見た。
父さんと母さんが生きてて、美雪さんがいて、私が居て。
皆、笑ってる。
「………夢か…」
覚めてほしくなかったなぁ……。
なーんて。
「さっ、遅刻遅刻。準備準備」
手早く準備をすませ、家を出た。
その日の帰り道。
自分でもちょっとボーッとしてたと思う。
でも、あんなに何も反応できないなんて思ってなかった。
フツーにいつもの歩道を歩いてた。
そこは、いつもならちょっと気をつけて一旦止まって確認してから通る道、路地と大通りが合致するところ。
でも、今日は今まで歩いてたそのままの勢いで足を踏み出した。
聞こえたのは、けたたましいブレーキ音。
自分に向けて鳴らされてるんだ、って気付くのに数秒。
音がするほうに顔を向けるのにもう数秒。
目の前に広がるのは、凛々しいトラックのカオ。
身を庇う暇もなく、物凄い衝撃が身体を駆け巡る。
知らない人の悲鳴がちょっと遠くに聞こえる。
何故か頭は冷静で、
――あ、コレ死んだな。
なんて考えてた。
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