Trip梯

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「いったあぁああ――!!?何コレめっちゃ痛………くないわ!!え、死んでない!てか傷ない!?何で!?

てかココドコ!!?」





白い部屋に少女の叫び声がこだまする。ポカンと口を開けたままキョロキョロと周りをを見渡すが何もない。あるのは、白。白。白。
え。マジでココどこ?泣きそう。泣いていい?泣いていいよね!うん!


「ココドコデスカ―――!!!」

「るっさいんじゃ!!ちっと静かにできんのか!!?」

「ぅおう!!?ビックリし……あれ。」


後ろから聞こえた声に反応して振り向くが誰もいない。上下左右、見渡してみてもやはり誰もいない。
空耳?いや、ない。幻聴?ヤだなぁ…ついに耳がイカれたかな。にしても今の誰?確かに聞こえたと……


「ドコ見てんねん!こっちやこっち!」

「いやドコやねん、見えへんわ」


あ、ついツッコミが!大阪生まれの魂が!

「あ、そうか。見えてへんのか!忘れとったわー、ごめんごめん!」

「や、こっちもつっこんじゃってすみません」

「ええよええよ、むしろありがとうさん!ちょっと待ってなー」


声が聞こえなくなると同時にモヤが一点に集まりはじめた。それは徐々に人の形に近付いていき、モヤが晴れる頃には20〜30代ほどのキレーな男性が姿を現していた。


「……思ってたよりカッコイイっスね。おにーさん」

「マジで?若い子にそんなん言われて嬉しいわぁ〜」


にこりと微笑むおにーさん。うん。フツーにカッコイイよ?マジで。


「てゆーかさすが元大阪っ子やなー。ツッコミにキレがあったわ」

「まあ小学校の終わりまではいましたからね。ツッコミの基礎ぐらいは」

「たのもしー!この喋り方にしてホンマよかったわ」


実は私の生まれは大阪。でも美雪さんの転勤をキッカケに東京にきた。今では標準語の方が話しやすい。まあツッコミの時は自然と大阪弁になるけど
てか、なんでおにーさんが知ってんの?
……まあいっか。それより、


「で?」
「で?」

「ここどこ?おにーさん誰?私死んだ?死んだなら何でここにいるの?私どうなるの?とりあえずまずここどこ?」

「えーっと…、一コずつ答えていくからちょっと落ちつこか。な。」


両手を身体の前にだして、参ったのポーズをとるおにーさん。困ってるみたいだけど、答えてもらわなきゃ私も困るんだ。ごめんね。


「まず一個目。ここは彼の岸と此の岸のハザマや」

「ってことは、もしかしなくても私死んだ?」

「まあ…そういうことになるな」


私は思わずため息をついた。するとちょっと申し訳なさそうな顔をするおにーさん。おにーさんが気に病むことじゃないだろうに。
でも何でだろ。不思議と落ち着いてる。まあわかってたことだけどね。どっかで。


「じゃあ次。おにーさん誰?」

「今から言うこと信じるか?」

「? 内容による?」
「……やろうな」

「とりあえず言ってみてよ」

「神や。」

「………へ?」


思わず口を開けてしまった。

え、かみって…神?


「やから、神。神様やねん、ボク。」

「……へー」

「反応うっすぅー」

「え、いや、えっと。……マジっスか」


おにーさんは「マジやマジ」と言いながら私の頭を撫でる。やめろ、そんな歳じゃない。


「信じてくれた?」

「え? あー、んー…、まぁ、うん。一応」

「ホンマに!?有り難いわぁー。これで、これからの話ができるっちゅーもんやで!」


私は「話?」なんて言いながら首を傾げた。すると、急におにーさんが真面目な顔になって私の肩に手を置いた。


「今から話すことは真面目に全部ホンマの話やから、いろんなことがあってゴチャゴチャになるかもしらんけど聞いてな」

「う、うん。わかっ……りました。」


自称神のおにーさんが急にキリッと真面目な顔するから、私は思わず敬語に。
にしてもおにーさんかっこいいな。


「君は、今までおった世界にはいたらあかん存在なんや。」


「…………え」


いたらあかん…ってことは、ぇ。存在しちゃいけない、ってこと、だよね?それって……


「両親おらんやろ?」

「え、あ、うん。死んだって聞いてる」

「死んでないで。生きとる。」

「……え?」


父さんと母さんが、生きてる?ほんとに?
じゃあ、いつか


「君のそばに両親がおらんかったんは、君が今までおった世界の人間やなかっからなんや」

「どういうこと…?」

「……君は、異世界から来た男と、男とは違う異世界から来た女の間に生まれた子供、つまりは異世界の人間や。」


いせかい、って異世界?



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