Trip梯

□15
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「グっ!」
「ぅわぁあ!」


私が目を覚ますと、辺りは水浸しというか海になっていた。


「サクラ……」

「あっ凪!」

「何事…?」


私の身体を抱きしめて支えてくれていたサクラに尋ねれば、これはカカシ先生とザブザがやりあった結果なんだそうな。

見渡して二人の姿を探せば、木にザブザがたたき付けられているところだった。


「なぜだ…、お前には未来がみえるのか……!?」

「ああ…、お前は死ぬ」


名シーンきたぁあぁあ!!

しかし次の瞬間、ザブザの首に千本が刺さり、ザブザは地に伏した。


「フフ…、本当だ。死んじゃった」


語尾にハートがつきそうな明るさで言ったお面の少年、白は木の枝に佇んでいた。

カカシ先生がザブザの側にいき、脈を確認している。今は千本によって仮死状態にされているわけだから、カカシ先生も死んでいると判断するだろう。

ハクが追い忍であることがカカシ先生によって判明したところでふと視界を掠めた金髪を目で追うと腑に落ちない、といった顔のナルト。ザブザとハクを二度見て叫んだ。


「なんなんだってばよ!お前は!?」


自分と変わらないような年の少年に、自分達が苦戦した相手が簡単に殺されたことが納得できないナルトは叫ぶ。しかしそんなナルトをカカシ先生は穏やかに諭した。


「この世界にゃお前より年下で、オレより強いガキもいる」

「……」


イタチさんとかげふんげふん。

未だ納得いかなそうなナルトの頭に手をおくカカシ先生。
ハクは枝からザブザの側へと一瞬で移動し、死体を処理するといってザブザの死体を抱え消えた。

カカシ先生は大きく息をはき出し、額当てを左目の上に戻した。


「さ!オレ達もタズナさんを家まで連れていかなきゃならない。元気よくいくぞ!」

「ハハハッ!皆超すまんかったのォ!ま!ワシの家でゆっくりしていけ!」


タズナさんの言葉を聞いていると、顔に影がかかった。ふと横を見ると身体が傾いているカカシ先生。


「わ、凪よけっ」

「ぅえ、わっ!」


12歳の身体でこちらに倒れ込むカカシ先生を支えられる訳もなく、ドサっと音をたてて地面に倒れ込む私とカカシ先生。


「っつー…お、もっ…」

「ごめんねー…」

「え!?カカシ先生何やってるんだってばよ!!」

「凪から離れてー!」


向かい合うように地面に伏せっている私達を見て、ナルトとサクラが騒ぐ。それを笑顔で制していると、鋭い視線のサスケと目があった。


「……何やってる」

「カカシさん、写輪眼使いすぎると倒れちゃうんだ」


私がそういうと納得したような雰囲気を醸し出した三人は、次は呆れたような視線をカカシ先生に向けた。
私はすぐ横にあるカカシ先生のさらさらな髪を梳いた。


「もう、前も使いすぎちゃダメって言ったじゃん」

「言われたねー…」


小さくため息をつき、親指を噛んで印を結び地面に手をついた。


「口寄せの術」


ボフンという音と煙りをあげて現れたのは白銀の毛並みを持つ大狼。ナルト達は目を見開いて驚いているが、カカシは冷や汗を流している。


『…小僧、我が主に何をしている』

「いや、えーと……」

「また使いすぎ。シロ、カカシさん乗せてくれる?」

『…主がそういうのなら』


小さく息を吐いてしゃがみ込むシロにありがとう、と声をかけ、呆然としているタズナに尋ねる。


「タズナさん、すみませんがカカシ先生をシロに乗せてくれませんか?」

「お、おぉ」

「あ、手伝うってばよ」

『貸し一つだな』

「…覚えときます」


凪の声に意識を取り戻した四人は各々動き出した。ナルトとタズナはカカシを運び、サクラは凪を起こした。


「大丈夫?凪」

「ありがとうサクラ。あー、重かった」

「オイ」

「あ、サスケ」


何?と問い掛けると、サスケはどこで手に入れた。と尋ねてきた。主語も目的語もなかったが、質問の意味を理解した凪は、ああ、と言って笑顔を浮かべて答えた。


「父さんからの贈り物」

「フウザさんから…?」

「うん」


形見っていっても過言じゃないよ、と言って微笑む凪にサスケとサクラは何も言えなかった。凪の顔には、悲しみと寂しさと嬉しさが入り混じったような、複雑な表情が浮かんでいたから。


「よっしゃ!準備できたってばよ!」

「じゃータズナさん家いこっか…って、」


あれ、立てない。そう呟きポカンとする凪に、その場にいた全員が苦笑した。笑われているのが自分だとわかっている凪は、羞恥から顔を赤くして俯いた。


「皆ひどい…」

「いくぞ」

「わ、ぶっ」


いたっ!
ぐいっとサスケに手を引かれ、おぶられた凪は、勢いあまってサスケの肩に鼻をぶつけた。


「痛い…」

「フッ」


赤くなった鼻を摩る凪を鼻で笑い、サスケはそのまま歩きだした。最初は不満そうにしていた凪だが、一定のリズムで揺られるうちにサスケの背に身体を委ねて寝てしまった。


「あれ、凪ちゃんってば寝てるってばよ」

「ホントだ。寝顔かわいー!わ、睫毛ながーい」

「今日は頑張ったからねぇ」

『全く、そんな状態で我を呼ぶとは…』


凪の寝顔を見て騒ぐ二人をよそに、サスケは一人口角を上げた。


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