Trip梯

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仁さんの元を離れて次の世界に来てから約一ヶ月。私は今銀髪少年の家でお世話になっています。

…色々あったんです。


「シロちゃん、凪ちゃん、行ってくるね!」

「いってらっしゃーい」

「けっ、もう帰ってくんな」


このツンデレめ!と内心悶えながら隣の冬獅郎くんを肘で小突くと、チラリと上目遣いで(身長差的に仕方ない。30センチ程あるからね!)こちらを見て若干頬を染めて顔を反らした。

……何だコイツ、可愛すぎるでしょ。


お世話になっているシロちゃん、もとい日番谷冬獅郎くんの幼なじみ(この場合私も幼なじみか。)の雛森桃が、真央霊術院から久しぶりに帰っていたのだがまた霊術院に行ってしまった。寂しくなるなぁ。

短い間しか一緒にいないけど、桃は優しいし可愛いし大切な友達になった。もちろん冬獅郎くんも。

冬獅郎くんは、前の世界の前、つまり仁さんに会う前の私が集めていた漫画のなかで一番好きなキャラだったので、ちょっと、っていうかかなりこの状況が嬉しい。声優好きな私にはたまらない。

だってさ、だってさ、あの声で私の名前をさぁ!


「凪」

「ひゃぁいっ」

「……どうした?」

「な、なんでもないっ」


くそうっ!無駄にイイ声しやがって!耳は弱いんだよっ!

顔が赤いことを指摘されながら冬獅郎くんに促されて家に入ると、おばあちゃんがお茶と甘納豆を出してくれていたので二人で縁側に座りながらそれを食べる。好物を前にして、いつも険しい顔してる冬獅郎くんの雰囲気が柔らかい。

ちなみに私は冬獅郎くんにすすめられるまで甘納豆を食べたことがなかったが、今ではそのほのかな甘さにはまってしまった。


「おばあちゃん、これ美味しいねー」

「まだあるよ」


やったぁ!と言いながら笑うと、二人とも微笑んでくれた。







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