大空と最高僧

□第五話 共にいることの楽しさ
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[Gojyo side]

綱吉が正式に俺達と加わってから、初めての村に着いた。
あまり盛えているような村ではなかったが、穏やかな……俺に、あまりあわない村だ。
もっと、賭場とかがあるにぎやかな街のほうが自分には好ましい。
まぁ、そうは思ってもないものはないのだから仕方がない。
無い物ねだりはしない主義だ。
八戒に釘は刺されているが、次に大きな街に着いたら好きなだけ遊ぼうと心に誓い、ぷかりと紫煙を吐いた。
現在は、その小さな村で唯一の小さな宿にいる。
今回も綱吉と同じ部屋になるべく前回と同じメンバーで、前回と同じような口論をしたが、結局無理矢理悟空が綱吉を部屋に連行していってしまっため、またしてもそれは願いは成就せず、八戒と同室。
因みに、三蔵は一人部屋である。
今頃、じじくさく茶をすすっているか、部屋で眠っていることだろう。
それを考えるとやはり、三蔵と同室よりも、静かに読書をしている八戒との同室のほうが遥かにマシだ。
まだ夜の十時。
こんな時間に眠るなど、自分にはあり得ない。
口論をしたくない以前に、その時点で三蔵と同室にはなりたくない。
ぐしゃぐしゃと煙草の火を消す。
すると、パタンと本を閉じた八戒が唐突に聞いてきた。

「そういえば悟浄、最近煙草の量減りましたよね」
「あー……そうか?」

そう言えば、宿では好き放題に吸っているが、ジープに乗っているときはあまり吸わなくなった気がする。
確かに、綱吉に気を遣って減らしたつもりではいるが、そんなにわかりやすいほどに減ったろうか。

「前よりストレスが溜まらなくなったんじゃないですか?」
「(…まさか、ストレスためてんのはおまえらの所為とも言えねぇわな……)」

あのメンバーと居て、ストレスが溜まらないほうがどうかしている。
綱吉はそんな俺にできた数少ない娯楽……といったところか。

「なんにせよ、煙草の本数が減ったのはよかったです」
「へーへー、そーですか」

爽やかに微笑む八戒に適当に返事を返し、ベッドに寝転んだ。
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