雪女とある男の恋愛事情
□#3 綴織の正体
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「おい」
「?」
誰だ…あぁコイツ家がでっかい病院でちょっとした金持ちで有名な奴じゃん。確か学年代表の。
名前は…
西蓮寺 拓海(さいれんじ たくみ)…だったような…?
「予鈴、鳴ったけど」
西蓮寺は、俺をぎろりと睨みながらそう言った。
「あ…悪い気付かなかった」
俺がそう言うと西蓮寺は眉間にシワをよせて俺にこうどなった
「はぁ?!気付かなかった?!…っち、どういう神経してんだよ!!」
そう言ってまた舌打ちをしたあと偉そうに腕を組んでまた俺を睨んだ。
俺はこの言われように腹が立ち、お前の言ってることは、正論だけどもうちょっと言い方ってもんがあるだろっていってやろうとしたとき。
「ごほっ…ごほっごほっ」
発作がおきた。
興奮しすぎたみたいだ。
いろんなことに。
「なんだ?咳で誤魔化すつもりか?」
言い返したい…言い返したいけど咳が止まらない…ヤバい…辛くなってきた…
「お前がどういう神経してるんだ。英霊はからだが弱いんだ。それくらい知ってるだろ。」
綴織……
綴織は、俺の背中を優しくさすりながら西蓮寺にそう言った。
西蓮寺を見る綴織の目がものすごく怖い……だけど、凛々しくもあり俺は綴織の目をそらすことは、できなかった。
「……そんなにおこらないでくれ。ちょっとした冗談だ。」
西蓮寺は、一瞬どこか悲しそうな顔をしたあとまた俺を睨んだ。
「冗談がすぎるぞ。行こう英霊。」
俺たちはその場から立ち上がり、保健室に向かった。俺が後ろを振り向くと西蓮寺が綴織をじっと見ている。
きっと西蓮寺は綴織のことが好きなんだろうな…。分かるけど…。
誰にも取られたくないって思ってる俺……独占欲が強いんだな。
気持ち悪い……もちろん自分が。
「あれが英霊 陸か…」
「綴織」
綴織を呼ぶと綴織は優しく微笑みながら、ん?と振り向いた。
俺がさっきのことにたいしてお礼を言うと、綴織は、少し顔を赤らめて、あぁと言った。
「大丈夫か?」
「大丈夫。いつものことだから。綴織は、授業に戻っていいよ。これ以上綴織に迷惑かけられないし。」
そう言うと綴織は、心配そうな顔をしたあと表情をかえて
「いや、面倒だからここにいるよ。」
綴織はゆっくりと目をとじた。その顔があまりにも綺麗でしばらく見とれたあと俺は布団で顔を隠した。