その教師、ドSにつき。
□第3話
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先生に送って貰った私は、病院に連れて行くと意気込んでたおばあちゃんを振り切り薬を飲んで大人しく寝て居た。
風邪って言っても熱と喉の痛みだけだし水分も摂れる。わざわざ病院に行って余計具合悪くなっても嫌だし。
ベッドに横になり、すっぽりとお布団に入った私はいつの間にかウトウトと眠ってしまっていたみたい。
「……っ!……!!」
「……。……!」
ん……煩いなぁ……誰?
女の人の怒鳴り声に目を覚ました私は、枕元のペットボトルに手を伸ばしながら少しだけカーテンを開けて外を見た。
「んっ!?」
見間違い……じゃ、ないよね?
思わず手に持ったままのペットボトルを落としそうになる。
せ、先生の、部屋に……っ、お、女の人がっ!
私の視界に入ったのは、先生に寄り添う女の人の姿。
まさか、これって……この女の人って、先生の……彼女?
途端にチクンと痛む胸の奥。
……なに、この感じ。
何だか見てると呼吸が荒くなるような、イライラする様な。
カーテンの陰に隠れながら少しだけ窓を開けて中の様子を窺う。
って、なんでこんな事してんの、私……
「じゃあ、今ここでキスしてよ!そしたら帰るわ、私」
「あぁ?んな気分じゃねぇって言ってんだろが」
「酷いわっ、薫!あたしのコト好きだって言ったじゃないっ!」
「おまえなぁ、いい加減……」
言い合いをする二人の声が私の部屋まで聞こえて来る。
なんか、嫌だなぁ……そう思って伏せた顔。
だけど急に静かになった二人にふと目線を上げた私は、そのままそこから動くことができなかった。
―――うそ……でしょっ
ベッドへ仰向けに倒れ込んだ女の人の腕を押さえつけ、先生が艶めかしく唇を合わせている。
ただの軽いキスじゃなくて……深く絡み合うような……
やだ……っ、そんなの、見たくない……よ!
「せ…んせ……」
思わず呟いた瞬間、不意にこっちを見た先生と目が合った。
ばっ、バレ…た……!?
瞬時にカッと熱くなる頬。
慌てて窓とカーテンを閉めた私は頭から布団を被りベッドへ潜り込む。
―――絶対、私が見てたの……バレちゃったよね……どうしよう。
壊れそうなほど高鳴る胸。
先程の二人の光景が脳裏に焼きついて離れない。
ぎゅっと胸の辺りを両手で抑えながら、頬に伝った一筋の涙を枕に押し付けた。
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