空色の姫

□落月屋梁
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「まずはオレを消しに来るだろうが…
桃地再不斬、こいつは霧隠れの暗部で無音殺人術(サイレントキリング)の達人として知られた男だ。
気がついたらあの世だったなんてことになりかねない。
オレも写輪眼を全てうまく使いこなせるわけじゃない…お前達も気をぬくな!」

カカシ先生に頼りっきりじゃ駄目だ。
私達もちゃんとしないと。
静まり返った中、ドクン、と自分の鼓動が響く。
すると、段々白くなる視界。
霧が濃くなっていく。

「どんどん霧が濃くなっていくってばよ!」

「8カ所」

慌てる私達の耳に突然聞こえる再不斬の声。

「喉頭(いんとう)・脊柱(せきちゅう)・肺・肝臓・頸静脈(けいじょうみゃく)に鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)・腎臓・心臓…
…さて…どの急所がいい?」

何も見えない所から何か感じたのだろう、カカシ先生が印を結んだ。

瞬間、全身を襲う殺気。
先程の二人組の忍なんかとは比べ物にならない。
腹の底がキリキリと痛む。
呼吸をするだけで恐怖が刺し、全身が縮こまり、震える。
心臓が音を立てる度に死が近付いているのを実感する。
何も見えない視界が余計にそれらを煽る。
クナイを握る手に、自分の額に、冷や汗が滲む。
周りなんて見る余裕もない、自分のことで精一杯だ。

「サスケ、ソラ…」

自分を呼ぶカカシ先生の声でさえ疑って、吃驚した。

「安心しろ、お前達はオレが死んでも守ってやる。

オレの仲間は、絶対殺させやしなーいよ!」

身体の震えは、収まった。

「それはどうかな…?」

怪しく響く再不斬の声。
と、再不斬はタズナさんの前、私達四人の死角に現れた。

「終わりだ」

振りかぶる大刀。
それを阻止したのは再不斬の前に現れたカカシ先生。
先生はタズナさんと私達を押して、無理矢理避けさせた。

クナイを再不斬の腹に刺した先生だが、そこからは血ではなく、水が垂れている。
先生の背後には再不斬。
偽物、それにいち早く気付いたナルトが指を差しながら叫んだ。

「先生!!後ろ!!」

パシャ!

崩れ去った再不斬の水分身。
隙を突いた本物の再不斬は先生を真っ二つに大刀で切り裂いた。
殺った、そう完全に思っていた。

パシャ!

「動くな…」

先生が霧の中で水分身の術をコピーしたことに再不斬が気付いた時には、彼の首筋にはクナイが当てられていた。

「終わりだ」

再不斬が言った台詞を先生は再び不敵に言った。


ーーー

落月屋梁→友人を思う心情を言う。

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