風詠み
□序章
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「ねぇ、どこ行くの?」
見つかってしまった。今一番会いたくない、会うと厄介なことになる人に。
「や、やあ、シオン」
無意識の内に声が裏返りそうになる。
言うのか、言わないのか。脳内で自問自答を繰り返す。が、勿論答えは出ない。
何も言わない俺を不思議に思ったのかもう一度聞いてくる。俺は嘘をついた。
「少し外へ…」
「その荷物で?」
俺は何も言えなかった。ヤバいこのパターンは…。
ニコリと彼女は笑うと
「アタシも行く」
ああやっぱり。
*
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