風詠み

□“風”
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ツナがランボの笑い声で起きる少し前。

あーあ、やっぱり寝れなかった。
アタシはゆっくりと体を起こした。
いや、体を休めるという意味ではちゃんと寝ていただろう。
でも、周りの物音が聞こえる浅い眠りだった。
環境が変われば少しはまともに寝られると思ったのに。
根が変わらないんじゃ意味無いみたいだ。
最後に夢を見るほど深く眠ったのは何時だっけ。
そんな忘れてしまった、思い出しても変わらないことを考えながらアタシは用意をしていた。
誰かが来たから。






昨日は病院で一夜を過ごした。
バジルが少し心配だったから。
ベットは中々の寝心地だった、寝てないけど。
病院の待合室兼受付のある一階へ降りていく。
そこには二人の少年がいた。
アタシが来たのに気付くと二人共最初は驚いた顔をしていたが、すぐに思い出したという顔になった。

「どう、昨日の怪我は?」

口ではそうでも内心これっぽっちも思っていない。

「お前は昨日跳ね馬と一緒に居た…」

ニコッと愛想良く笑って挨拶する。
こういうのは昔から星の数ほどやってきた。
バレない自信がある。
コイツらもまんまと引っかかってくれた。
やっぱり他の奴らとおんなじ。

「はじめまして、獄寺隼人に山本武」

昨日会ったツナと同じように驚いて聞いてくるが、スルーする。
これも昨日と同じように自己紹介した。
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