空色の姫

□悪戦苦闘
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彼等の目の前に現れた再不斬。
未だ囚われたカカシの傍にも彼はいることから目の前のそれはおそらく水分身だ。
本物ではないと分かっているのにゾクリと殺気に震える。

「ククッ…偉そーに額当てまでして忍者気取りか…。
だがな、本当の“忍者”ってのはいくつもの死線を越えた者をいうんだよ。
つまり…俺様の手配帳に載る程度になって初めて忍者と呼べる。お前らみたいなのは忍者とは呼ばねェ…」

言いながら再び霧隠れの術を使って消えた。
そしてナルトの顔面を蹴り飛ばした。

「ナルト!!」

顔を蹴った時に外れたのだろう、ナルトの額あてが再不斬の足に踏みつけられていた。

「ただのガキだ」

カカシの苦しそうな叫び声。

「お前らァ!!タズナさんを連れて早く逃げるんだ!!コイツとやっても勝ち目はない!!
オレをこの水牢に閉じ込めている限りこいつはここから動けない!
水分身も本体からある程度離れれば使えないハズだ!!
とにかく今は逃げろ!」

何度も実戦を経験しているカカシでなくとも分かる力の差。
こんな昨日今日忍になったような子供、再不斬にとっては赤子の手を捻るよりも簡単だ。

蹴り飛ばされたナルトがゆっくりと立ち上がり、再不斬を力強い瞳で見つめて、

「バ…バカ、よせ!」

カカシの制止の声を無視して、そのまま無謀にも向かって行った。

が、当然再不斬には傷一つ付けられない。
再び勢いよく跳ね返されたナルト。

「一人で突っ込んで何考えてんのよ!いくらいきがったって下忍の私達に勝ち目なんてあるわけ…」

サクラが呆れたように怒ったようにそう言うが、途中で何かを見て言葉を詰まらせた。
起き上がったナルトが額あてを持っている。
その場にいる全員の視線が彼に集まる。

「おい…そこのマユ無し」

マユ無し、とはおそらく再不斬のことだろう。

「お前の手配書に新しくのせとけ!
いずれ木ノ葉隠れの火影になる男」

スッと背筋を伸ばし居ずまいを正し、額あてを付け直し、

「木ノ葉流忍者!うずまきナルトってな!!」

力強くそう宣言した。
この場に広がる不安などの空気をものともしない力強さにソラも鼓舞された。

「サスケ!ちょっと耳貸せ」

「何だ」

「作戦がある。ソラも手伝ってくれ!」

「分かった!」

あの向こう見ずなナルトが作戦とは珍しい。
でも、あるのならばよほどスゴイものなのだろう。

「さーて、暴れるぜぇ…」

これからが本番、反撃開始だ。
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