海賊

□その男、不快
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『今日からこの船の仲間になる高緒です。みんなよろしくね〜』


どうにも性格の緩そうな挨拶に、軽く流れるような身振り。
極め付けの人当たりの良さそうな笑顔。


気に入らなかった。

見た目も性格も文句無しの突然現れた「仲間」は、その笑顔とは不釣り合いなほど「僕は誰も信用しません」って目をしてやがったから。








高緒が船に乗って数日。
あいつは何かするでもなくただ神出鬼没に船の中を徘徊していた。

よくベポと昼寝してるのを見かけるが、たまにあろうことか船長の部屋で寝てることもある。

「なんなんだよ…食うか寝るかしかしてねぇじゃん。」

「なーにふてくされてんだよシャチ?」

夕飯を美味そうに食べるあいつを睨みながら呟くと、背後からバンダナキザ男・イルカが絡んできた。

「おい、今すっげぇ失礼なこと考えたろ。」

「…べっつにー?」

視線の先に気づいたらしいイルカは、俺の背中をバシッと叩いて笑い出した。

「ふはっ、なんだ僻んでんのか?高緒の扱いは特別なんだからしょーがねえだろ」

「僻んでねえ‼︎ってか特別ってなんだよっ⁉︎」

背中の腕を払いのけながら怒鳴るとイルカはうるさいと言ってまた俺を叩いた。

「なんだお前知らねーの?あいつ身元わかんねえ上にもしかしたら海軍かなんかのスパイかも知れねえって監視してんだよ」

「は⁉︎」

なんだよそれ。
なんでそんなやつ船に乗せてんだよ⁉︎

「俺やっぱり船長の考えてることわかんねえ」

「お前みたいなバカにわかるわけねえだろ」

「なんだとー!」


とにかく俺はっ!
あんな見た目だけのやつ気に入らねえっ‼︎


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